急拡大する中国・貴陽のデジタル経済圏

中国・貴陽、「インターネット医療」で地域格差の壁乗り越えろ エクサイジングジャパン/翼彩創新科技(深圳)CEO 川ノ上和文氏 に聞く

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連載初回では、貴州省・貴陽がビッグデータを活用し、新たな産業を生みだしている背景と実態をリポートした。今回は医療におけるビッグデータ活用状況と遠隔医療の企業事例について、株式会社エクサイジングジャパン/翼彩創新科技(深圳)有限公司CEO 川ノ上和文氏に聞いた。

お知らせ
日本経済新聞社は2018年12月、中国・貴陽、深圳を訪問する体験型視察プログラムを実施します。
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医療でビッグデータ活用

――貴陽の医療領域について社会背景を教えてください。

貴州では約1400万人が僻地に生活し、医療の地域格差は大きな問題です。村から病院まで出かけて問診を受けるのに3日かかり、2000元の費用を負担するケースもまれではなかったようです。

医師のスキル・知識の格差も問題でした。都市部の病院に勤める医師には常識となった情報でも、僻地の医師はキャッチアップできておらず、診断効率の悪化、さらには誤診・医療ミスをしてしまう。こうした社会背景を受けて、行政主導で進められたのが「スマート医療」です。

――「スマート医療」におけるビッグデータの活用状況について教えてください。

電子健康カルテ、住民データバンク、遠隔医療サービスプラットフォーム、基礎医療衛生機構管理情報システム、電子病歴シェアリングプラットフォームなどが、次々と構築されています。いまでは貴州省全域で使える、衛生情報クラウドデータセンターも設立されました。これは全国初の試みです。

「スマート医療」のインフラが整ったことで、推奨しているのはビデオ問診をはじめとする遠隔医療です。ビデオ問診なら、わざわざ病院に通院せずとも、僻地にある自宅や近所のクリニックかで受診が可能です。

ビデオ問診では、1回使い切り採血検査用のスマートハードウェアとキットが送られてきます。チップが組み込まれており、採血すればその場ですぐに尿酸値、血糖値などが計測されて、データはクラウドを経由し医師に共有。行政主導で医療データの集積が進む仕組みが構築しているのです。ビデオ問診後は処方箋が発行されEC薬局で購入。物流インフラがより整備され医薬品の配送効率が高まれば、遠隔医療はさらに普及するでしょう。

ビデオ問診を奨励するため、医療保険制度も改革しました。リアル病院での問診が自己負担4割なのに対し、ビデオ問診では2割。こうした取り組みが功を奏し、「医療診断は病院に行かずに受けられる手軽なもの」という概念のリープフロッギング現象が起きてくる、と見ています。

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