日経ニューオフィス賞

五感で対話、新体験を追求 引き寄せられる空間に 第35回 日経ニューオフィス賞 ポストコロナ見据え 多様な人材の結節点

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日本経済新聞社とニューオフィス推進協会(NOPA)は第35回「日経ニューオフィス賞」として16のオフィスを決定した。経済産業大臣賞に選ばれた「電通デジタル 汐留PORT 7-8階」をはじめとする各受賞オフィスからは、オフィスに来ることの意味を明確にして、整備する動きが加速してきたことが見えてくる。ポストコロナ時代を見据え、多様な人材の結節点として、新たに知識や体験を求める社員を引き寄せるための空間づくりが始まった。

オフィスに行く意味 再考

2022年の日経ニューオフィス賞の応募数は131件で、総数は減少したものの、中国や九州など地方からの応募が増加し、良質なオフィスが地方へと広がるというトレンドが見て取れる。個人で情報処理をするオフィスから、コラボレーションを重視し、組織で協働する「クリエイティブ・オフィス」という概念が日本中に定着し始めた。

2021年は新型コロナウイルスの影響で人がいないことを前提にしていたが、22年は「人が行きたくなるオフィス」がキーワードとして浮上。行く意味は何かを考えて空間づくりに取り組む傾向が強まった。

その条件の一つとして挙げられるのは「居心地のいい環境」。この考え方自体は1990年代のニューオフィス推進運動以来の古くて新しい概念だが、そこに「新しい知識に出会う」「様々な体験ができる」という要素をプラスすることで、知識創造行動を誘発し、加速するためのオフィスを目指す傾向が強まっている。

もう一つのキーワードとして、三栖邦博・NOPA会長が指摘するのが「セレンディピティー」という概念だ。予期せぬ出会い、偶然の発見を意味する造語だが、その場に行くことで出会うことができ、コミュニケーションが生まれ、自ら成長できるというインセンティブが「行きたくなる」きっかけとなる。

審査委員長を務める古谷誠章・早稲田大学教授も「これまではタブーだった、隣でガヤガヤやっていることが漏れるような空間に刺激を求めていくようになった」と指摘。静寂性を重視していたこれまでのオフィスづくりが大きく変化していると分析する。

電通デジタルや丸紅など「五感」を意識した取り組みが広がってきたのも、こうした傾向の延長線と言えるだろう。視覚と聴覚だけのオンラインによるコミュニケーションに比べて、実際に出会い、五感を使って共創することで、コミュニケーションの活性化を促すというわけだ。

オフィスユーザーである従業員にオフィスづくりに参画してもらう取り組みが定着してきたのも今年の特徴だ。従業員の関与度を高めることで、愛着を持っている人が増えれば、自然と人が集まってくるという好循環が生まれてくる。進化するオフィスを従業員自身が使いこなすうえでも、今後は従業員参加型で空間づくりを進めるという手法が重要になってくる可能性が高い。

行きたくなるオフィスづくりが進む半面、実際の出社率に結びつくケースは少ない。コロナ禍が終息し、制限なく出社が可能になった時にこそ、セレンディピティーを重視した取り組みの真価が問われそうだ。

 

審査講評

ラウンジ化の潮流強まる

早稲田大学教授・建築家/日経ニューオフィス賞審査委員長

古谷 誠章 氏

コロナの影響で出社率が下がったり、リモートワークが広がる状況において、空いたスペースを返すのではなく、有効活用する動きが顕著になってきた。

従来オフィスは静寂が重視されたが、刺激があってインスパイアされる空間が求められている。プラス価値を生む空間としての使命をオフィスが持つようになったのだ。電通デジタルでは、ホワイトボードを活用した「オープンブレスト」など、協働の場を意識的に増やしていた。

もう一つ注目されるのが、オフィスのラウンジ化だ。机が並ぶフリーアドレスのワークプレイスから、コーヒーショップのテーブル席や窓辺のカウンター席など、タイプの異なる空間が用意されたホテルのラウンジに近い。こうした傾向は今後も進みそうだ。

 

セレンディピティーを生む

ニューオフィス推進協会(NOPA)会長/三栖邦博・環境デザイン研究室代表

三栖 邦博 氏

会社と自宅、加えてシェアオフィスやコワーキングスペース、多様化する働く場所でのハイブリッド型のワークスタイルが定着するなか、拠点となる会社オフィスは社内外の広範囲な相手との対面での交流と協創の場に特化しつつあり、執務エリアに代わって人と人がつながるためのスペースを潤沢に設ける傾向がはっきりしてきた。偶然の出会いを意味する「セレンディピティー」への注目も目立つ。5Gやデジタル技術を駆使し、出社している人の場所や会える状況にあるかどうかもリアルタイムで把握できる取り組みも目を引く。社員自らが行きたくなるオフィスをつくろうとの意図は明確で、自宅ではできない様々な体験機会や感性を刺激する心地良いしつらえなどソフト、ハード両面での魅力づくりが進む。

第35回日経ニューオフィス賞 入賞オフィス
ニューオフィス推進賞/経済産業大臣賞
・電通デジタル 汐留PORT 7-8階(東京・港)
ニューオフィス推進賞/クリエイティブ・オフィス賞
・NTTコミュニケーションズ
   OPEN HUB for Smart World(東京・千代田)
・Fujitsu Uvance Kawasaki Tower(川崎市)
・丸紅本社 Workreation オフィス(東京・千代田)
ニューオフィス推進賞
・CTCグループ 神谷町オフィス(東京・港)
・Shimadzuみらい共創ラボ(京都府精華町)
・セールスフォース・ジャパン 東京オフィス (Salesforce Tower)(東京・千代田)
・大和ハウスグループ みらい価値共創センター
「コトクリエ」(奈良市)
・東京エレクトロン宮城 Miyagi Technology  
Innovation Center(宮城県大和町)
・乃村工芸社グループ
台場ガーデンシティビル 2-6階、8-9階(東京・港)
・PwC Japanグループ Otemachi Oneタワーオフィス(東京・千代田)
・プロティア・ジャパン オフィス(東京・港)
・三井デザインテック本社 CROSSOVER Lab
(東京・中央)
・三菱地所プロパティマネジメント本社オフィス
(東京・千代田)
・森永製菓R&Dセンター(横浜市)
・安川テクノロジーセンタ(北九州市)

 

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