日経SDGsフェス

日経SDGsフェスNY編3)国境越え対話で共感醸成を

SDGs 採録 パネル討論

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政府関係者や学識経験者、企業経営者らが参加してニューヨークで7月11日、12日の2日間にわたって開催した「日経SDGsフェス」(主催は日本経済新聞社と日経BP)。2日目は「日経SDGs/ESG会議」と題し、国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた取り組みをセッション形式中心に議論した。参加者の発言を紹介する。

●講演 石兼 公博氏

特命全権大使 国際連合日本政府常駐代表

日本に求められる役割果たす

SDGs達成に向け、わが国も様々な取り組みを実施している。保健については、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(全ての人が適切な保健医療サービスを支払い可能な費用で受けられる状態)の確立に向けた国際的議論を主導。経済協力においては、相手国の真の発展を見据え、教育にも注力している。また、あらゆる脅威から一人ひとりの生活や尊厳を守る「人間の安全保障」の概念を国際社会に浸透させる取り組みにも心を砕き続けている。

来年から2年間、わが国は安保理の非常任理事国を務める。国際社会がかつてない難問に直面する中、日本に求められる役割をしっかりと果たしたい。

◇     ◇     ◇

●セッション 変革加速へ連携不可欠

駒谷 隆明氏 伊藤忠ファッションシステム 代表取締役社長
山下 徹也氏 伊藤忠ファッションシステム ifs未来研究所 所長代行
新谷 浩一氏 日本航空 ニューヨーク支店長
ジェシカ・チェン氏 シティグループ サステナビリティ&ESG バイス・プレジデント
ダナ・フィッシャー氏 メリーランド大学 社会環境プログラム長、教授
●コーディネーター 蟹江 憲史氏 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授

※以下は敬称略

駒谷 ファッション業界では、SDGsの12番「つくる責任 つかう責任」の達成が重点課題の一つだ。当社が長年かけて培ってきた消費動向などに関する卓越した知見や、幅広い企業・組織とのネットワークを生かし、ファッション起点でサステナブルな社会の実現に貢献していく。

新谷 持続可能な航空輸送の実現を目指し、二酸化炭素(CO2)排出量の削減や機内食における食品廃棄削減に注力している。航空機に乗せた食品の残渣は検疫の関係で焼却処分のみで、エネルギーリサイクルなども認められていない。国際協調による規制見直しの必要性も強く感じる。

チェン シティグループは昨年、2030年までに環境や社会をより良くする事業に1兆ドルを投じるというサステナブルファイナンスのコミットメントを発表した。グローバル金融グループの強みを生かし、多様な国・地域のステークホルダーと共に持続可能な社会の実現に貢献したい。

フィッシャー 科学に基づくサステナブルな変革を巻き起こす日米間イニシアチブ「Japan-US Sustainable Transition Network」を設立した。科学者や政策決定者に限らず、社会の多様なプレーヤーを巻き込んで活発な議論を展開し、日米間の連携や協力を加速させたい。

山下 消費者の行動変容が伴わなければ、社会への貢献を成長戦略に組み込む企業の持続可能性は危ぶまれる。変革に向けた過渡期にある今、消費者の意識や行動変容をいかに起こすかという点は非常に重要と感じる。

蟹江 サステナブルな社会への変革を加速させるには、優良事例のスケールアップが大事だ。食と衣料は格好の例になる。さらなる加速を実現するには、国や領域の枠を超えた連携による、取り組みの拡大が不可欠だ。

◇     ◇     ◇

●セッション 4年に1度のGSDRを指針に

アンソニー・ピパ氏 ブルッキングス研究所 サステナブル開発センター シニアフェロー(オンライン参加) 
アストラ・ボニーニ氏 国際連合 経済社会局 シニアサステナブル・ディベロップメント・オフィサー
●コーディネーター 蟹江 憲史氏 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授(GSDR2023執筆の科学者グループメンバー)

※以下は敬称略

ボニーニ 持続可能な開発に関するグローバルレポート(GSDR)は、SDGsの進捗を科学的かつ統合的に評価するレポートだ。国連事務総長が任命する独立した科学者グループによって起草され、4年に1度発行される。

蟹江 今年9月には、2023年版の草稿が完成する予定だ。草稿は、各国の科学者やステークホルダーなどの知見を得てブラッシュアップされる「評価の評価」というプロセスだ。政策形成者などに、SDGs達成に向けた行動の指針として活用してもらえるよう、情報を整理する。

ピパ 私は米国の国連特命大使として、SDGsの交渉や採択に携わってきた。政治的立場から離れて、SDGsの進捗を科学に基づいて分析するGSDRは、広範なSDGsのアジェンダを、その相互依存性まで含めて整理し、次に起こすべき行動を明示する役割を果たしている。

ボニーニ 前回の19年版のレポートでは、進捗の遅れと共に、統合的アプローチの必要性が指摘された。SDGs達成には、関連する各要素を俯瞰したうえで、起こりうるトレードオフまで把握して行動する必要がある。

蟹江 今がSDGs達成に向けた変革を加速するラストチャンスだ。23年版では、変革を加速する4つのレバーを、より実践的かつ具体的に示す。ぜひ参照してほしい。

ピパ パンデミックや紛争など、現在起きている様々な事象が、SDGsの達成に関し、いかなる短期的、あるいは長期的影響をもたらすかを示すことも期待する。

◇     ◇     ◇

※本シンポジウムのアーカイブは特設サイトでご覧いただけます。

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