サバイバル経営Q&A

先が読めないVUCAの時代 働く意欲を引き出す人事 サバイバル経営Q&A 白井旬・職場のSDGs研究所代表

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変化がめまぐるしい時代に、働く人のモチベーションを保ちつつ、人材を適切に配置するのは、なかなか難しいものです。職場のSDGs研究所代表の白井旬氏は将来の変化を見据え、経営側と働き手が意識を共有するアクションプランの成功例を挙げます。

東北6県にまたがり、ガソリンスタンド、飲食サービス、スポーツジム、介護福祉施設、ドローンスクール、プログラミングスクール、ウェブコンサルティングなどの多角化経営をしている会社です。10数年前まで、ガソリンスタンドのみで事業展開していましたが、地球温暖化対策に伴う、今後の社会全体のエネルギー転換などに対処する必要が出てきました。そこで、引き続き会社を発展・存続させるために、時代にあわせた様々なビジネスにも挑戦しています。しかしながら、近年、スタッフからは「全く畑違いの業種・業界への異動では、それまでの知識や経験が生かされず、キャリアが描きづらい」「目標管理シートや人事評価面談で、5年後10年後の目標を聞かれますが、会社として先が読めないのに、長期的な目標を立てても無駄ではないですか?」といった意見が多く出るようになりました。人事担当役員として、変化の激しい「VUCA」(ブーカ=変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代に対応した人材育成やキャリアプラン、組織のあり方など、どのような対応していけばよいのかと日々、悩んでいます。

ここ数年、「変化が激しいVUCAの時代」や「将来の予測が困難で経営が難しい時代」という言葉をよく目にするようになりました。改めて、おさらいをしてみると、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとってVUCAとなっています。

なかでもフィルムカメラ→デジタルカメラ→スマートフォンのように、動向を察知しやすい同じ業界からではなく、他業界から新しい技術や発想のよる新商品やサービスで急にライバルが現れるといったことが頻繁に起こると、一段と経営が難しくなってきます。また、「100年に1度の〇〇」が毎年起こるといった大きな気候変動は、様々な業界に影響や変化を及ぼしています。

今回、ご相談いただいた人事担当役員の「そんな時代だからこそ、変化に対応するため(経営上のリスクの低減やチャンスを生かすため)に多角化経営を展開しているのに、社員との間にギャップが生まれている」という悩み(心の声)は、私自身も共感を覚えるところです。

そこで、キャリアデザインの考え方として有効な「偶発性学習理論(計画された偶発性理論)」を組織風土改革や組織文化づくりへ応用して全社展開をしたA社の事例をお伝えします。A社は、ご相談者と同じく、時代の変化に対応し多角化経営に舵(かじ)を切ったものの、社員がその変化について来られなくなったことから、重点を「長期の目標」から「日々の習慣」に変えて成果を上げています。

「偶発性学習理論」はキャリア理論の代表的な考え方の1つです。1999年に米スタンフォード大学のJ.D.クランボルツ教授が提唱しました。ビジネスパーソンとして成功した人のキャリアを調査したところ、「個人のキャリアにおけるターニングポイントの8割は予想しない偶発的なことに決定される」ということが分かったのです。

偶然を引き寄せる人には、以下にある5つの行動習慣(行動規範)が多く見受けられました。そこで、予期しない出来事(偶然)をただ待つだけでなく、自ら創り出せるように積極的に行動したり、周囲の出来事に神経を研ぎすませたりして、偶然を意図的・計画的にステップアップの機会へと変えていくべきだというのが同理論の中心となる考え方です。

◆クランボルツ教授が提唱する当理論で大切な5つの行動習慣(行動規範)
(1)好奇心 たえず新しい学習の機会を模索して、まず行動を起こして挑戦すること
(2)持続性 失敗に屈せずに努力し続け、実現に向けてあの手この手を繰り出すこと
(3)楽観性 新しい機会は必ず生かせる・実現可能になるとポジティブに考えること
(4)柔軟性 自身のこだわりを捨て、目的に向かって概念や態度や行動を変えること
(5)冒険心 結果が不確実や先行き不透明であっても、リスクを取って行動すること

 

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