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金融の真価、ミクロから 資金とともに付加価値提供 三井住友フィナンシャルグループ 「かまど」「農業」次世代へ丁寧に

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大規模災害の多発など環境異変があちこちで顕在化している。脱炭素社会への転換は人類共通の課題だが、国際政治・経済情勢の不穏は高まる。必要な資金を供給する金融大手の果たすべき役割と責任は重みを増す。邦銀3メガバンクのうち「グリーン」をコーポレートカラーに掲げる三井住友フィナンシャルグループ(FG)の戦略と真価が問われる。

環境問題への対応、とりわけ気候変動をめぐる規制の多くは金融機関にも課される。「蛇口」を握る金融は、顧客企業やプロジェクトへの資金の流れを強めたり、止めたりすることができる立場にあるからだ。

三井住友FGは2030年までに10兆円としていた目標額について「グリーンおよびサステナビリティに資するファイナンス実行額=30兆円」へと上方修正した。そのうえで取引先の二酸化炭素(CO2)排出量を把握し、削減に向けた目標を定める。石油やガス、電力など排出の多い業種から始めて順次対象を広げる。石炭火力発電所の新設や拡張案件への融資はやめる。

兆円単位のマクロ的な巨額目標に加え、貧困など社会課題の解決に貢献するミクロ対応にも取りくむ。一例が「クックストーブ・プロジェクト」への参画だ。

三井住友FGは航空機リースで世界2位(機材数950機)。機材が排出するCO2を相殺するカーボンクレジットを確保する必要がある。焦点がクレジットの正当な調達先だ。

クックストーブとは、土や金属でつくる「かまど」のこと。たき火など覆いのない火を調理や暖房に使っている人口はアフリカやアジアの途上国などに30億人。そうした家庭にかまどを広めることで、森林伐採や薪集めをする女性の労働負担の軽減、所得増につながる。三井住友FGは同プロジェクトからクレジットを購入し、航空会社にリースとセットで販売する。

国内では秋田県大潟村で農地所有適格法人を設立し米やタマネギの栽培を始めた。日本の農業には後継者不足や肥料高騰など逆風にはこと欠かず、食糧安全保障問題も台頭する。畑違いの分野に参入したからには、金融の知見を生かした革新的な「スマート農業」の成果が試される。

豊かな未来へ、若いころから金融の学びの大切さは増す。「教育」も国連による「SDGs(持続可能な開発目標)」の柱だ。高校生らを対象としたグループ横断の出張講義などの受講者は累計130万人を超えた。次世代のために何を残せるか。マクロ目標にとどまらない丁寧な取り組みが要る。

(NIKKEI Financial編集長 佐藤大和)

三井住友フィナンシャルグループ・太田純社長 緑の地球 汚したらきれいに――


北海道に「富良野自然塾(富良野市)」という著名作家の倉本聰さんが設立した環境教育施設があります。自然教育に加えて「ゴルフ場を森に戻す」というプロジェクトの趣旨に賛同しご協力させていただいてきました。

塾の敷地では46億年の地球の歴史を460メートルの遊歩道「地球の道」として整備しています。このうち人類誕生からは2センチ分。産業革命以降は0.02ミリです。「460メートルのうち0.02ミリ」で人類は緑の地球に多大な影響を与えてきました。

道の先の石碑に刻まれている「地球は子孫から借りているもの」という言葉は本質を突いています。そもそも地球は借り物だ、と。汚してしまったらきれいにして返すのは当たり前の話ですよね。

われわれは2030年までに自社のCO2排出量を実質ゼロにするのはもちろん、金融機関としてお取引先とのエンゲージメントを強め、必要な資金を提供しながらカーボンニュートラルに貢献していきたい。

国際エネルギー問題などその実現には難問が山積していますが、この先新たな環境技術開発にも期待できる。頂上を目指す険しい山登りはおそらく1本道ではないし、場合によっては迂回する必要も出てくるかもしれない。世界全体で考えていくべき課題であり、そこに我々も加わります。

時代が変わり、金融機関がこれまでどおりのことをしているだけでは、生き残ることすら難しい。そんな強い危機感を持っています。

まずみずから変わらなければ顧客や社会に新たな付加価値を提供することなどできない。だから「カラを、破ろう」。社員に訴え続けています。

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