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部下を伸ばす上司がいる「ウェルビーイングな職場」 『ウェルビーイング・マネジメント』著者 加藤守和氏(上)

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「幸福」を言い表す英語には「happiness」や「joy」などがある。近年、ビジネスターム(用語)に加わったのが「well-being」(ウェルビーイング)だ。なぜ企業の経営戦略や人事・組織分野で急に関心を集めるようになったのか、『ウェルビーイング・マネジメント』(日経BP)の著者で、組織人事コンサルタントの加藤守和氏に、ウェルビーイングの意味やビジネス現場での生かし方を聞いた。

「well-being」の直訳は「よいあり方」となる。しかし、これでは意味が広すぎる。この言葉が広まるきっかけの1つになったのは、世界保健機関(WHO)憲章とされる。1946年にまとめられた同憲章は前文で「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」("Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.")と定義した。ここで「良好な状態」を言い表した言葉がウェルビーイングだった。

SDGs(持続可能な開発目標)は第3の目標に「すべての人に健康と福祉を」を掲げている。英語では「GOOD HEALTH AND WELL-BEING」。この「健康」との対比を見ると、単に「病気ではない」といった肉体的健やかさだけを指すのではないことがわかる。職場では「幸せな体験」や「心理的安全性」「やりがい」「満足感」などもウェルビーイングの要素になり得る。「ウェルビーイングは優秀な働き手から、自分たちの望む居場所として選んでもらううえで、企業経営に欠かせなくなってきた」と、加藤氏は説く。

ウェルビーイングがにわかに重視されるようになった背景には、人材の流動化がある。「生涯に10回の転職は当たり前」といわれる米国ほどではないものの、日本でも転職は珍しくなくなってきた。優れた人材は自らの好みで勤め先を割と自由に選べるようになってきたわけだ。そうした状況にあって、本人にとっての納得感や合理性に見合う勤め先が優先的に選ばれる流れになりやすい。「ウェルビーイングを物差しに、転職先を決める傾向は日本でも強まってきた」(加藤氏)という。

企業経営者にとっては自社のウェルビーイングを高めることが人材獲得のポイントになっているが、報酬額やポジションといったいわゆる「待遇」がウェルビーイングの決め手ではない。そうした分かりやすい「スペック」ではない諸条件がウェルビーイングを左右しがちだ。居心地や働きやすさなど、数値化しにくい要素が働くので、経営者や実務リーダーはこれまでとは異なる対応を迫られる。加藤氏は「仕事そのものが楽しいと感じられるか、周囲に尊敬できる人間がいるか、コミュニティー自体に誇りと信頼を持てるかの3点が充実感を決める」とみる。

 

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