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働きながら心身休める「サボり術」 有名人の切り替え技 『よく働き、よくサボる。 一流のサボリストの仕事術』エディター ・後藤亮平氏に聞く(下)

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「サボる」は一種の造語だが、広く使われて日常語化している。文化庁の「国語に関する世論調査」(2013年)によれば、「サボる(怠ける)」は86%の人が使うと回答した。これほど定着しているのに、実際のサボり方は技術レベルに個人差が大きいようだ。エディターの後藤亮平氏は第一線の表現者やクリエーター13人に話を聞いて、それぞれの「サボリ方」を『よく働き、よくサボる。 一流のサボリストの仕事術』(扶桑社)にまとめた。テレビ朝日のウェブサイト「logirl(ロガール)」で連載中の「サボリスト〜あの人のサボり方〜」がベースになっている。思い思いの知恵やアイデアが生かされた、しなやかなサボり術は、自分流にアレンジして取り入れてみたくなる。(前回記事「著名クリエーターの『サボり方』 自分の機嫌とるスキル」)

仕事が忙しくなると、「リフレッシュしなきゃ」という意識が働いて、どうにか「オフの時間」をひねり出そうとしがちだ。しかし、建築図法で銭湯を描いた著書『銭湯図解』で知られる画家、塩谷歩波氏は近ごろ、「無理に切り替えなくてもいいんじゃないか」と考えるようになったという。

塩谷氏は日々の暮らしの中で過ごす、中国茶を淹(い)れるような時間を、自然体の「息抜き」ととらえるようになった。その後、洗濯や風呂掃除などの家事にも、無理なく取り組めるようになったそうだ。後藤氏は「仕事を中心とした1日の中に、『生活』というサボりを取り入れるようになった」とみる。

仕事に追われていると、考え方まで窮屈になりやすい。仕事の時間が自分にとって最重要であり、残りの時間はもったいない、無駄だという意識にとらわれることも珍しくない。結果的に仕事へ振り向ける時間がますます長くなり、日常生活がやせていく。掃除を怠けたり、食事を後回しにしたりと、プライベートをサボっていくことも起こりがちだ。塩谷氏もそういう時期があったという。

でも、生活が荒れると、気持ちもすさむケースが多い。仕事にもマイナスに働きかねない。後藤氏は「普通の暮らしを大事にすることもひとつのサボり」と、発想の転換を促す。こうしたスケジュール感覚はリモートワーク下ではとりわけ有益だろう。仕事時間とオフ時間をきれいに線引きしない「上手な公私混同」は仕事偏重が生活の荒廃につながる「負のスパイラル」を避けるうえでも心がけたいところだ。

 

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