企業が成長すると、人事面での難しさが増します。業務がマンネリ化したり、働き手の成長が鈍ったり。職場のSDGs研究所代表の白井旬氏は人事異動を伴わない形でのスキル共有や人材流動化を提案します。
一方で、急激な拡大(10年前は従業員数が約70人→現在は4倍の280人)に組織体制やマネジメント能力が追いついていません。当社の強みだった「お互いさま」やチームワークといった企業風土が損なわれ、本社と営業所間のコミュニケーション不足によるあつれきが生じています。加えて、個性を重んじすぎたのが影響してか、それぞれが「個人商店化」してしまい、担当が不在になると、仕事が進まないといった事態に陥っています。
会社が発展・成長する過程で、良好な関係を維持できるマネジメント人数の目安として「ダンバー数」が知られています。1990年代に英国の人類学者だったロビン・ダンバーが霊長類の脳の大きさと平均的な群れの大きさにおける相関関係から割り出した値です。人間が円滑かつ安定して関係を維持できる人数は諸説がありますが、150人程度であると提唱しています。
もちろん、企業は150人以上の組織になることは多いので、150人が限界値ということではなく、ダンバー数をもとにした「5人、15人、50人、150人、500人、1500人」などの節目において、新たなマネジメント手法に挑戦したり、人数にあわせたコミュニケーションツールの導入などの工夫が必要になります。
代表的な事例として、50人を超えたあたりで社内報などを発行して、社長の考え方や会社としてのあるべき姿を繰り返し伝えるインナーブランディングの手法があります。スタッフの持ち味や強み、成功事例などを共有することなども知られています。
ほかにも様々な施策があります。今回は、相談者の企業規模とほぼ同じである従業員数約250人の自動車販売会社で取り組んでいる社内留学制度についてお伝えします。
相談者の建設会社は、営業スタッフ、建築士、人事・広報などの本部スタッフなどで構成する組織のようです。一般的な自動車販売会社の営業スタッフ、整備士、人事・広報などの本部スタッフといった組織構成と似ています。