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人手不足、トランプリスク…経済4誌で読む2024年

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「日経ビジネス」「週刊 東洋経済」「週刊 ダイヤモンド」「週刊 エコノミスト」の経済4誌の恒例企画「2024年大予測」が出そろった。ポイントは安定した物価上昇と賃上げによる国内経済の好循環が実現するかどうか。人手不足・円安・インフレの3大要素が懸念材料だ。国際経済は米大統領選をはじめとする各国・地域の重要選挙の結果が波乱要因となりそう。国内外のリスクへの備えが一段と必要になりそうだ。

日本を潰す「物流の2024問題」 輸送能力が大幅減

日経ビジネスは従来の総合的な予測特集のスタイルを一新し、2週にわたって「人手不足が日本を潰す」「トランプ復権 世界を壊す」とテーマを絞って分析している。前編は「物流の2024年問題」を取りあげた。トラックドライバーの時間外労働の上限規制適用で、営業用トラックの輸送能力が24年に約14%、30年に約34%不足する恐れがあるという。積載効率の向上や鉄道利用などの対策も十分に行き渡ってはいない。ドライバーの半数が50代以上という年齢構成も影を落としている。人手不足の問題は建設・医療の分野などにも広がっている。

後編はトランプ米前大統領が再選された場合に世界で何が起きるのかを予測した。共和党の大統領候補者の中で支持率が群を抜くトランプ氏復権の現実味が増す一方、政策予想の困難さは依然として残る。関税引き上げ、気候変動対応からの撤退、国際的な枠組みからの離脱など、1期目とほぼ同じ方向性ながら、米連邦準備理事会(FRB)への干渉や議会権限の縮小などさらに過激化する恐れもある。地政学的にも、ロシアによるウクライナ侵攻や対中、対アジア、対中東情勢などで「トランプリスク」が大きく影響を及ぼす。日本企業にとっては、不確実性の拡大による様子見のため、投資計画先送りなど経営者の萎縮につながると指摘している。

中国不動産市況、米国景気減速が2大リスク

東洋経済は主要なエコノミスト18人へのアンケートを実施。24年度の実質GDP(国内総生産)成長率は18人全員が23年度より低下すると回答し、このうち11人が1%以下と予想した。人手不足による供給制約から生産性向上に向けた設備投資を活発化させる一方、民間の住宅投資は引き続き弱い。民間消費はインフレの減退で回復してくると読む。賃上げ機運が続くことも期待材料として寄与する。日経平均株価は3万〜3万6000円台、為替相場は1ドル=124〜160円との予想で大幅な円高を見通す向きは少ない。米国の政策金利は4%台後半に低下するとの見方が大勢を占めた。

他方、15人が懸念材料として、海外経済の急激な悪化を挙げた。中国における不動産市況と米国経済の減速が2大リスク要因だ。米国経済に関しては22年末にも後退局面に入るという予想が多かったが、おおむね堅調で減速不安が後ずれしている。

日経平均、史上最高値更新も視野?

ダイヤモンドは、24年の実質GDP成長率を平均1.8%、25年は内需を中心に1%前後と予想する。個人消費が回復する一方、エネルギーなど輸入物価上昇の転嫁が一巡することで消費者物価上昇率は24年に2%台前半と見込んでいる。日銀のマイナス金利時期を10人のエコノミストの中の6人が24年4月と予想。最も早い予想は1月、遅い予測は25年6月だった。

日経平均については8人の証券会社チーフ・ストラテジストにアンケートを実施。24年度末は2万8000円〜4万2000円を予想し、25年までに1989年末の史上最高値更新が視野に入ってきたとの見方が多数を占めた。24年の企業業績(純利益)増益率は4〜10%増益だった。24年に注目する業種は半導体や製造拠点の国内回帰を背景にして機械、量的緩和解除を見込んでの金融、不動産、小売り、陸運などが挙がった。

「人手不足」は新たな技術、ビジネス生む可能性も

エコノミストは例年通り、国内編と海外編の2本立てできめ細かく予想。国内経済では人手不足を最大のテーマに掲げる。23年時点で約409万人の不足が、30年には698万に拡大するとみる。人手不足による倒産はすでに深刻で、23年は10月までで全国206件(帝国データバンク調べ)と過去最多となっている点を指摘する。ただ、深刻なマイナス面ばかりではなく、配送・荷役の効率化、専用ロボット開発など新技術、ビジネスチャンスを生む可能性を秘めると分析。前年同月比でマイナスが続く実質賃金は徐々にマイナス幅が縮まり、24年後半中にプラスに転じると予想。ただ消費全体の押し上げは限定的とみている。

海外経済ではやはりトランプ氏が復活するかが大きなテーマだ。ただ、堅調な個人消費などにけん引されてきた米国経済は24年にソフトランディングへ向かいそうだという。インフレ率の鈍化や設備、住宅投資の軟調傾向、労働需給の緩和などが進んでいるが、政策金利の引き下げ余地や米国家計の健全性などから深刻な景気後退は回避できると読む。

キーパーソン10人に日本人なし

ニューズウイーク日本版は特別リポート「2024年の世界を読む」でキーパーソン10人を挙げている。アルトマン・米オープンAI最高経営責CEOCEO)、ナジェージュジン・モスクワ市議会議員、蔡奇(ツァイ・チー)・中国共産党政治局常務委員、トゥスク・ポーランド首相、モディ・インド首相、頼清徳・台湾副総統、ゼレンスキー・ウクライナ大統領、ミルジヨエフ・ウズベキスタン大統領、レイナー英労働党副党首、トランプ米前大統領の10人で日本人はいなかった。

(松本治人)

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