日経SDGsフォーラム

温暖化対策 ITで支える NTTデータ、国境越え企業の連携を後押し

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

地球温暖化というグローバルな課題を解決するには、企業や国の枠を超えてステークホルダー(利害関係者)が連携する必要がある。温暖化ガスの排出量を減らし、エネルギーを有効活用するうえでIT(情報技術)の活用は欠かせない。SDGs(持続可能な開発目標)の達成をネットワーク技術で支える役割がITベンダーに求められている。

気温上昇を産業革命前に比べて1.5度以下にとどめる世界共通の目標を達成するために、企業は温暖化ガス削減に向けた意欲的な計画の策定と実行が求められている。最近重要になってきたのは自社だけでなくサプライチェーン(供給網)全体で減らす視点だ。企業が排出する温暖化ガスのうち、原材料の製造や製品の使用・廃棄などで出る「スコープ3」と呼ぶ間接排出が占める比率は非常に高く、投資家からも情報開示の要求が強まっている。

取引先が多く入り組んでいる企業は供給網全体で排出量を把握することは難しい。顧客企業の情報システム構築を支援してきたITベンダーの出番だろう。NTTデータは企業間でデータを連携し排出量を可視化するウェブサービス「C-Turtle」を提供する。国際的な環境評価を手がける非政府組織CDPと国内企業で初めて情報利用許諾契約を結び、同団体が企業から集めた排出量データを活用する。排出量は業界平均値を基に算出することが大半だが、リアルなデータを取り込むことで削減努力を反映させようという考えだ。

排出量の開示が進むにつれて、世界ではデータ交換のルールなど技術的な基準づくりが進む。独シーメンスなど欧州中心の企業連合にNTTデータも設立メンバーとして参加した。データ流通の基盤となる国際的なプラットフォームが完成する前に、日本が蚊帳の外に置かれないためにもルールづくりに積極的に関与することが重要になる。

同社は温暖化対策に欠かせない再生可能エネルギーでも地域貢献の可能性を探っている。沖縄・宮古島で太陽光発電と蓄電池、電気自動車(EV)を使った分散型電源の需給バランスをとるために、発電・消費のデータを可視化し分析する実証実験を今年7月から始めた。千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」では、健康データ管理の実証サービスに参画するなど、SDGsの事業領域を広げつつある。

ITベンダーは銀行や官公庁の大規模システムの構築で成長してきた。温暖化対策支援のシステム規模はまだ格段に小さいが、社会貢献の側面もあり事業としての重要性は今後増すはずだ。新分野を開拓するには、安全性や信頼性に加え、先進性も必要になる。蓄積してきた技術力とともに挑戦心も試されている。

(編集委員 半沢二喜)

NTTデータ・本間洋社長 利用者の視点で温かみのあるシステムに


当社はCO2の排出量を2030年に16年比で60%削減し、40年にはカーボンニュートラル、50年にはネットゼロを目指しています。データセンターではAI(人工知能)による空調制御や液浸冷却などの最先端技術を導入し始めました。私たちITベンダーは、こうした自社の取り組みに加えて、顧客企業や社会全体のSDGsについてもデジタル技術で貢献することができます。

様々な社会課題を解決するには多くのステークホルダーがつながる必要があります。医療では病院や製薬会社、大学などです。当社はもともとシステム構築で「つくる力」はあり、ネットワークで「つなぐ力」も持っています。この2つを掛け合わせ、社会課題の解決や企業の新サービス創出に貢献していきます。

コンピューターやIT(情報技術)というと、若干冷たいイメージがありますよね。私たちは利用者の視点に立ち、使いやすく便利で、温かみのあるシステムを作りたいと考えています。今まで受動的につくってきましたが、これからは能動的に顧客と一緒に考えるデザイン思考が重要になります。

2年前に故郷の山形県酒田市のCDO(最高デジタル変革責任者)に就任し、市役所の若手職員たちと地域活性化策を推進しています。ITで貢献できることはたくさんあります。高齢者が多くデジタル機器を扱うのが難しいという課題がありますが、ITについて何でも教えてくれるサポーターや「情報の駅」のような拠点があってもいいでしょう。離島に遠隔医療のシステムを整備するなど、デジタル技術は本当に困っているところに導入し、片隅から課題を解決することがとても重要だと思います。

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

関連情報

新着記事

もっと見る
loading

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。