サバイバル経営Q&A

社員から新提案が出ない 「個人プレー」的経営者の悩み サバイバル経営Q&A 白井旬・職場のSDGs研究所代表

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ビジネスパーソンが直面する悩みや疑問に専門家が答えます。今回は社員から新しいアイデアや提案が出てこない状況に悩んでいる経営者に、職場のSDGs研究所代表の白井旬氏が考え方を提案します。

北陸地方で税理士事務所を経営しています。人工知能(AI)化・デジタルトランスフォーメーション(DX)化が進むなかで、手続き業務が少しずつ減少しており、コンサルティング業務への移行を図ろうとしています。しかし、「コンサル業務はやったことがない」や「急にはアイデアが浮かばない」など、スタッフがなかなかついてきてくれません。残業が多く、長時間労働が常態化していることもあり、スタッフは全体として、新しいことに消極的なように感じます。いつまでも私一人が新しいアイデアを考え、顧客を開拓し、サポートを行っている状態が続くと、事務所としての経営も難しくなるのではないかと心配です。

中小企業の経営者や大手企業の管理職の悩みとして多いのが、「自分一人がアイデアを出して頑張っている」や「どうして部下は改善提案を出してこないのか」といった悩みです。

私自身も15年間におよぶ管理職時代に「なんで自分ばっかり」と感じることも多くありました。経営者になってからの5年間は「全員参画型経営なんて、夢のまた夢だな」と考えていたものです。

しかし、今から5年前に考え方が一変する出来事がありました。それは、以前にも紹介した「ライバル企業との共同配送」により、残業時間を4割削減し、ガソリン代も3割削減した食品卸会社との出会いです。

このアイデアを出したのは入社5年目の23歳の女性事務スタッフでした。コンビニエンスストア大手3社が企業の垣根を越えて共同配送し、業界全体の業務効率化につなげました。この実証実験のニュースを見て、「うちの会社でもできるかも」「きっとうまくいく」と会社に提案したのです。

この提案を経営者が素早く取り入れて、ライバル企業2社に話を持ちかけ、共同配送を始めました。そこから業界全体を巻き込む改革につながっていったのでした。

ここで着目したいのは、スタッフの問題意識と「自己効力感」の高さです。何げなく見ていたネットニュースの情報を会社の課題と結び付ける行動は、普段から「会社のための何かできることは無いかな」と問題意識を持っていたことの表れです。

 

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