日経SDGsフォーラム

命をつなぐ 暮らしをつなぐ 心をつなぐ KDDI、通信会社が生む価値追求

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通信会社にできるSDGsは何か。社員たちが出した答えは「つなぐ」ことだった。直近の中期経営戦略で「つなぐチカラ」を打ち出し、命をつなぐ、暮らしをつなぐ、心をつなぐ、この3つが自分たちの仕事であると明言した。誰もが思いを実現できる社会をつなぐことで作り出す。KDDIはそんな会社を目指している。

毎日、当たり前のように使っているスマートフォンやパソコン。そのありがたさを痛感するのは、何かのトラブルでつながらなくなった時だ。例えば自然災害。大地震や洪水などで被災し、スマホが使えなくなったら、その不安や心細さは計り知れない。現在は東日本大震災の時より進化し、水陸両用の緊急電源車や車載型基地局の増強、海上から電波を飛ばせる特殊船舶の導入など、災害時のつなぐ力は高まっている。

2022年7月の大規模通信障害でも、つなぐ力の重さを痛感した。つながらないと電車やタクシーに乗れないし、コンビニで買い物や決済もできない。気象衛星からの雲や雨の情報も届かない。今の日常生活は、あらゆるものがつながることで成り立っている。

つながることで、新しい価値が生まれる。例えば漁業。ベテラン漁師の経験とカンで魚群を探し当てていた時代から、通信技術の活用で魚の居場所を突き止めるIoT漁業が当たり前の時代になった。クルマがつながることで、事故防止や自動運転が実現した。モノを売って終わりではなく、売ってからもつながっているから、そこでどんなサービスを提供できるかまで、考える時代になった。

インタビューの中で高橋誠社長は「もはやスマホの契約台数や料金の安さを競う時代ではない。何をつなげ、そこでどんな付加価値を生み出すか。その提案力を競う時代になった」と語っている。企業経営者は、自社製品がいかにつながり、価値が高まるのか、常に意識するようになった。

つなぐ力を高めるために、高橋社長は競争と協調の両立を重視する。技術を競うことでつなぐ力は向上する。一方で通信会社同士が手を組むことでも、つなぐ力は強くなる。KDDIのauスマホが使えなくなった時、NTTドコモやソフトバンクの通信ネットワークが使える副回線サービスは、心強い味方になる。電波の中継基地も3つ必要だろうか。3社共同で建てれば、SDGsにも通じるだろうと高橋社長は指摘する。

SDGsの究極の目標である持続可能な社会。様々なものがつながることで、新しい生活、新しい社会が実現する。それが今よりもっと暮らしやすい、生きやすい社会になるならば、通信会社の果たす役割は大きい。

(編集委員 鈴木亮)

KDDI・高橋誠社長「社会への大きな役割 働くモチベーションに」


「つなぐチカラ」というテーマはもともと、2020年のKDDIサステナブル・アクションというSDGsを意識した社内の議論が発端です。持続可能な社会を作るために通信会社ができることは何か。それはつなぐことだろう。何をつなぐのか、社員から意見を募り、出てきた答えが、命をつなぐ、暮らしをつなぐ、心をつなぐの3つでした。これが2030年に向けた中期経営計画の根幹になりました。
3つのつなぐチカラは社員の間にすっかり浸透し、あらゆる社内外の資料は「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」で締めくくります。通信会社があらゆるものをつなぐ。それが便利なだけでなく、幸福な社会の実現につながる。私たちの役割は、自らが想像しているよりもはるかに大きく、それが働くモチベーションになっています。
私たちの先輩たちは固定電話しかなかった三十数年前、1人1台、持ち運びができる電話を持つ時代の到来を予想していました。犬や猫も通信手段を持つかもしれないという声もありました。さすがにそれは、と失笑されたそうですが、今やモノとモノがつながるIoTの時代です。
これから先、つなぐチカラでどんな社会が実現するのでしょう。例えば人の感情とモノがつながったらどうなるか。運転席に座るだけで人の要求を感じ取り、自動で目的地に連れて行ってくれるクルマ、言葉を発しなくても、人の気持ちを察して動いてくれる家電などが登場するかもしれません。
日本人は付加価値を付けることが得意です。何かをつなぎ、付加価値を生み、そこで生まれた新しい技術が、社会的課題の解決につながる。私たちはそんな時代の中心に立ちます。

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