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レンゴー、海水や土壌で分解する 「ビスコパール」 マイクロプラスチック問題に貢献

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イノベーション 海洋保全 循環型経済

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リサイクルの優等生である段ボールを主力として、「人に、環境に優しいこと」を事業活動の基本に環境経営を推進するレンゴーグループ。木材パルプ由来の「ビスコパール」は海水や土壌で分解して自然にかえることから、石油由来のプラスチックの代替素材として期待が高まる。グローバルで喫緊の課題となっている海洋プラスチックごみ問題を含む様々な環境課題の解決を目指している。

人と環境に優しいことが基本 新たな付加価値の創出に挑戦

レンゴーは1909年に創業者の井上貞治郎が日本で初めて段ボールを世に送り出して以来、輸送、保管、販売促進に至るまで、サプライチェーンにおける全てのパッケージング・ニーズをトータルで支援してきた。

主力商品の段ボールはリサイクルの優等生ともいわれ、古紙を主原料とする循環型で再生可能な地球環境にも優しい包装材だ。段ボール事業を祖業とするレンゴーグループは、常に「人に、環境に優しいこと」を事業活動の基本に置く。

レンゴーは環境経営を推進し、新たな付加価値の創出につながるイノベーションにも挑戦している。34年に木材パルプ(セルロース)を原料にセロハンの製造を開始し、環境問題が大きく取り上げられる以前の80年代から、生分解性を有するセルロース関連製品の開発を進めてきた。

その一つである球状セルロース粒子「ビスコパール」は、直径3μmから4mmの幅広い粒径を展開している木材由来のセルロースが原料の素材だ。軽量で水や油との親和性が高く、化粧品素材やセラミックス添加剤、樹脂やゴムの添加剤、塗料添加剤など幅広い用途での利用が見込まれている。

木材由来のビスコパールでプラスチック素材を代替

また、ビスコパールは、土壌や淡水、海水に流出しても微生物によって水とCO2に分解される生分解性を持つため、環境に大きな影響を及ぼすマイクロプラスチックを代替する素材としても期待されている。ビスコパールは土中に比べて微生物が少ない海水でも生分解性を証明され、海洋生分解に関する国際認証「OK biodegradable MARINE」の認証を取得した。なお、マイクロプラスチックは直径5mm以下の微細なプラスチックを指し、化粧品の添加剤や洗顔料やボディーウォッシュ、歯磨き粉のスクラブ剤など様々な用途に利用されてきた。あまりに小さいため廃水処理施設では除去できず、そのまま川から海に流れ込んでしまう。自然環境下の微量の化学物質を吸着してプランクトンや魚が摂取し、人の健康や生態系に影響を及ぼす可能性が指摘されるなど、海洋汚染の原因の一つにもなっていた。

欧州連合(EU)ではマイクロプラスチックが添加された製品の販売を規制する規則が採択され、対象製品のEU域内での販売が順次禁止される。米国でもマイクロプラスチックを含む一部化粧品の製造・販売は禁止され、日本でも産業界の自主規制により代替素材への移行が進んでいる。

製紙部門営業本部機能材営業部 大阪営業第二課 担当部長兼課長の中野欣紀氏は「樹脂やインクの添加剤、研磨剤など幅広い分野で使用されるマイクロプラスチックの代替品として、ビスコパールが海洋プラスチックごみ問題解決に貢献することを期待しています」と話す。

化粧品原料やゴム添加剤、漁具の素材の用途で提案

レンゴーはビスコパールの需要拡大を見据え、新たに化学品・セルロース商品開発本部開発推進部開発推進課を設置して用途提案を進めている。

化粧品の原料としては、事業提携している大東化成工業が「CELLULOBEADS」の商品名で販売している。EU規格に合った生分解性を持ち、化粧品用のプラスチック製粒子の代替候補として期待される。一方、産業用ではゴム添加剤やセラミックス造孔剤としての提案を進めており、今後は藻場再生や漁具の素材としての用途提案を視野に入れる。他の汎用プラスチック製品と比べて割高なコストを低減しながら、ビスコパールを利用したいと思ってもらえるような付加価値の創出を目指す。

開発推進課の沖田佳音氏は「紙と同じ木材由来のビスコパールは水になじみやすい特徴があります。製品に添加することでバイオマス度を高めたり、吸水性を高めたりすることに利用できます。様々な提案をしていくことでビスコパールの用途を増やし、市場を広げたいと考えています」と意気込む。

レンゴーグループは、環境憲章を具現化する目標として2030年度を達成年度とする「エコチャレンジ2030」に取り組んでおり、重要課題に定めた「環境問題や社会課題を解決する製品の創出」に向けて、ビスコパールの生産目標を22年度の年間47tから30年度に200tにまで引き上げることを目指している。新たな需要を開拓することで目標を達成する構えだ。

22年には福井県あわら市の金津工場にビスコパールの新プラントを本格稼働させた。「企業の多くが環境に配慮したグリーン調達を進めています。ビスコパールの増産でコストを低減するとともに、独自性や機能性などを追求して今までアプローチできていなかった市場にも提案を進め、海洋プラスチックごみ問題などの解決に貢献していきます」と沖田氏は語っている。

【日経からのお知らせ】NIKKEIブルーオーシャン・フォーラム
海の環境を守り、その資源を正しく利活用する方策や仕組みを考え、内外に発信していく目的で、日本経済新聞社と日経BPはNIKKEIブルーオーシャン・フォーラムを設立しました。海洋に関連する多様な領域の専門家や企業の代表らによる有識者委員会を年4回のペースで開き、幅広い視点から議論を深めて「海洋保全に関する日本からの提言」を作成します。

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