■睡眠スケジュール法、安定睡眠の特効薬
安定した睡眠を得るためには睡眠スケジュール法が特効薬です。睡眠スケジュール法とは認知行動療法というカウンセリングの1つの手法です。詳しく解説しましょう。
睡眠スケジュール法の手順
(1)1週間の睡眠記録を取る(睡眠ダイアリーを利用:図2)
(2)睡眠記録から1週間の平均睡眠時間(実際に身体が必要とする睡眠時間)を算出する(例:平均6時間)
(3)新しい臥床時間を「平均睡眠時間+30分程度」に設定する(例:6時間半)。ただし、5時間未満になる場合は5時間に設定する。
(4)新しい臥床時間に基づき、就寝・就床時刻を設定する(例:午前0時半就寝、午前7時起床)
(5)しばらくしても寝つけない場合は寝床から出て、NGツール・NGワード以外の取り組みをする。
(6)上記の方法を1週間実践し、睡眠記録をつける。
(7)睡眠効率(1週間の平均睡眠時間÷1週間の平均臥床時間×100)が79%以下の場合は臥床時間を再度短縮し、就寝・起床時刻を設定する。85%以上の場合は臥床時間を15分程度延長し、80〜84%の場合は同じ臥床時間でもう1週間実施する(図3)。
私の臨床経験では、睡眠スケジュール法の効果は4日目以降に表れてくることが多いようです。最初の3日間は臥床時間を以前より短縮したにもかかわらず、寝つきの悪さや中途覚醒に対する効果が十分に見られないため、日中のしんどさに耐えられず、リタイアしてしまう方が多いのも事実ですが、4日目以降から変化が見え始め、1週間たつと日中のしんどさも軽減してきます。
「眠れなくても横になっていれば大丈夫」という知恵袋は、かえって不眠症状を悪化・維持させてしまうのです。睡眠スケジュール法は「肉を切らせて骨を断つ」方法です。今夜の「眠れる」より今後の「眠れる」を重視し、戦略的に臥床時間を調整することをお勧めします。
東京家政大人文学部心理カウンセリング学科(睡眠行動科学研究室) 准教授。博士(臨床心理学)。日大文理学部卒、北海道医療大大学院博士課程修了。早大人間科学学術院助教などを経て2018年より現職。毎日8~9時間睡眠をと取ると快調だと気づき、午後9時ごろに寝て午前5時ごろに起きる生活を続けている。