日経SDGsフェス

成長持続、世界規模で 次の世代も巻き込んで3 「日経SDGsフォーラムシンポジウム」討論

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日本経済新聞社と日経BPは9月12日、オンラインとリアルのハイブリッド方式で「日経SDGsフォーラムシンポジウム」を開催した。ロシアのウクライナ侵攻の長期化に伴うエネルギー危機や気候変動問題など多くの難題を抱えるなか、国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)達成へ向けいまできることは何か。産学の識者に加え国内外の若手起業家も登壇し、先を見通せない世界で成長を次代につなぐため、世界規模で取り組む必要性を訴えた。

日本経済新聞社と日経BPは2022年9月12日~17日、SDGsをテーマにすべての人々や企業とともにSDGsの実現を議論する大型イベント「日経SDGsフェス」を開催いたしました。

このうち9月12日のプログラム「日経SDGsフェス 日経SDGsフォーラムシンポジウム」から、国内外の起業家らによる討論2つをダイジェスト版でご紹介します。

【討 論】 ユニークな技術競え

(写真左から)
MPower Partners General Partner キャシー・松井 氏
食べチョク代表 秋元 里奈 氏
ファミトラ 代表取締役CEO 三橋 克仁 氏
mederi 代表取締役 坂梨 亜里咲 氏
――――――――――――――――――――
◆ モデレーター 日経ESG発行人 酒井 耕一

(以下敬称略)

酒井 社会課題解決におけるベンチャー企業への期待が高い。各社の取り組みを聞きたい。

松井 昨年5月にESG(環境・社会・企業統治)重視型のベンチャーキャピタルファンドを立ち上げた。社会課題を解決する起業家を支援し、ESGを成長戦略として実装していく会社に投資している。起業家世代はESGへの意識が高い。テックを通じてサステナブルリビングをテーマとして、ヘルスケア、フィンテック、次世代の働き方などに投資している。

秋元 食べチョクは生産者直送のオンライン直売所だ。日本の中小規模の生産者が自ら価格を決められるような販路をつくることが起業のスタートだった。新型コロナウイルスの影響もあり流通額は2年で128倍、生産者は10倍に増えた。長年環境に配慮してきた小規模生産者の特集なども行っている。

三橋 シニア×I T(情報技術)に着目し、家族の資産に関わる課題をデジタルトランスフォーメーション(DX)で解決するファミトラを創業した。認知症になると法的に意思能力がないとみなされ、不動産売却などあらゆる契約が事実上できなくなる。成年後見制度は費用や財産管理面で問題が多いため、高齢者が資産管理の権利だけを信頼できる第三者、例えば家族に渡す「家族信託」に着目した。システム構築により費用を抑えて幅広い層に拡大していく。様々な業界と連携し家族信託を当たり前にすることが狙いだ。

坂梨 生理に悩む女性向けにピルをオンライン処方するサービス「mederi Pill」や、妊娠出産を望む女性向けサプリやチェックキットを展開する「mederi Baby」を提供している。ピルは避妊効果のほかに生理前の不調改善などにも処方できる。

酒井 どんな問題意識が起業につながったのか。

坂梨 私自身が不妊治療を行い約3年で1000万円近くを費やした。この体験をプラスに変えたいという思いがモチベーションになった。

三橋 最初の起業は教育関連だったが、自分は教育者より起業家タイプだと思い一区切りした。エイジテックは社会的価値があり、まだ誰も取り組めていない。胸を張れる領域だと思った。

秋元 生産者支援をしたいという思いだけで起業した。台風被害を機に廃業した農家があり、もっと早く規模を拡大しなければと思い立ち、資金調達して急成長を目指した。周囲の環境が起業家精神を育んでくれた。

松井 持続可能な企業になるには、社会インフラ的な存在になることも重要だ。事業の魅力と並行して、起業家と経営陣にESGのアライメントがあるか、環境や多様性を意識しているかなども重視している。若い段階で企業のカルチャーにESGのマインドセットを実装したほうが、より持続可能な事業戦略に直結する可能性が高い。

酒井 成長を加速するためのテクノロジーへの取り組みを聞きたい。

坂梨 予約カルテツールを独自で開発した。医師が直感的にスムーズにオンライン診療ができる仕組みをつくっている。医療従事者が使いやすいシステムを日々アップデートしたい。

三橋 家族信託は自由度が高いのでつくり込むと様々なことができる。弁護士や司法書士の頭脳の部分をITで再現している。

秋元 ネットに不慣れな方でも使いやすく簡単に出品できるサービスを常に意識している。システムを提供するだけでなく、リアルとシステムをいかに融和できるかがポイントだ。

松井 日本のスタートアップのソフトウエア系は生産性向上、DX系が多いが、海外では革命的なテクノロジーとビジネスモデルの融合の例がある。日本には優れた最先端技術がある。グローバルで戦えるような、ユニークな技術の開発を期待している。

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