SDGs(持続可能な開発目標)にデジタルトランスフォーメーション(DX)……。ビジネスの現場には次々課題が降ってくる。あなたの職場は持続可能ですか。今回はSDGs対策として社内から提案されたリサイクル品の活用に不安を感じる経営者に、職場のSDGs研究所代表の白井旬氏が「今こそ好機」と、その意義を伝えます。
SDGsの17目標の一つに「つくる責任 つかう責任」があります。持続可能な消費と生産の実現を意味し、燃料や農作物、製造原料など様々な資源を浪費せず、できるだけ少ない量で、より良質のものを作り、使い切ろうということです。リサイクル品の活用はその重要な手段で、国も廃棄物の再利用目標などを掲げて後押ししています。使用後に廃棄されるプラスチックや製造原料、無駄になる食品など範囲は幅広く、すべての企業が達成に向けて努力する必要があるといえます。
リサイクルは仲間づくり 参加しなければ始まらない
ただし、個別の職場だけで対応するのは困難でしょう。リサイクル品に置き換えられそうなものや、使えそうな廃棄物が見つかっても、どう再利用するかを考えなくてはなりません。自前で再資源化、再利用ができるのか。できない場合はできる取引先を探さなくてはならない。さらに、リサイクル品の活用が製品品質にどんな影響を与えるか、顧客企業と確認しながら進めることも欠かせません。
つまり、リサイクルの推進とは他の多くの企業と資源再利用の一連の流れに参加することなのです。不安だから踏み出せないと言っている場合ではありません。社内から提案があったなら、とにかくリサイクル品の取引先と話し合って、試す。その上でほかの顧客企業とも調整しながら、リサイクルする原料の調達、加工、販売、廃棄、再利用のサイクルを企画してみる。あるいは他社の企画に乗ってみる。まずは参加すること、それが第一歩です。
コロナ禍で世界的に物流停滞 資源不足が契機に
確かに、リサイクル品の品質と供給の安定性を懸念する方はなお多いですが、状況は確実に変わってきています。SDGs対策を進める企業の多くが、すでに製造現場で取り組みを始めており、品質の問題は日々改善されています。加えて新型コロナウイルスの感染禍で世界の物流が停滞。多くの生産現場が製造原料の不足や高騰に直面しています。そこでリサイクル品に活路を求める動きが広がっているのです。