ヒットの軌跡

納豆はなぜスチロール容器 知られざる製法の秘密 「おかめ納豆」のタカノフーズ(上)

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納豆パッケージの細やかな工夫

納豆の発酵が進むのは、パックに入れた後だ。だから、納豆の白い容器は単なる「入れ物」ではない。大豆が納豆になるプロセスを見守る「ゆりかご」だ。発酵が進むのは、この寝床の中であり、消費者はいわば、できたてを売り場で手に取っていることになる。納豆が冷蔵を要するのは、常温ではどんどん発酵が進んでしまうからだ。

容器が発泡スチロール製であるのも、この役割に由来する。保温性が高いのに加え、安定して発酵を進めやすいなどのメリットがあるという。容器の底に設けてある凹凸は、かき混ぜた際、糸を引きやすくなる効果を生む。

「パッケージにはいろいろと細かい工夫が盛り込まれている」(市村氏)。食品ではパッケージに食材がほぼ満タン状態で詰められているケースが少なくないが、納豆は詰め加減がややゆったりしている。発酵には酸素が必要なので、容器には大豆をぎっしり詰め込まないで、少し「余白」を設けてあるという。

容器の底に凹凸があるのも酸素を取り入れるという目的からだ。ただ、空気が入ると乾燥しやすくなるので、薄いフィルムをかぶせてある。どのパーツにもちゃんと理由があるわけだ。

パッケージや冷蔵輸送の進化は「おかめ納豆」が全国に広がる追い風になった。自然食品ブームは植物性タンパク質をとりやすい大豆製品の人気を押し上げた。納豆はコンビニエンスストアにも居場所が広がり、東京・豊洲で74年にオープンした「セブン―イレブン」第1号店にも「おかめ納豆」は開店日から納入されている。

80年代に発売されたロングセラー商品「極小粒ミニ3」は今なお売り上げランキングのトップを守り続ける。食べやすい極小粒は消費者の幅も広げた。消費者の好みに応じて大粒大豆の「副将軍納豆」も投入。その後も、トレーでは多いと感じる人向けに小容量紙カップを使った「極小粒カップ3」や、産地を絞った、もっちりした食感の「北海道小粒納豆」など、商品バリエーションを広げていった。

2000年前後にはテレビの情報バラエティー番組で納豆の健康メリットがたびたび特集で取り上げられて、ブームのような状況が訪れた。「一時は生産が追いつかないほど、注文が舞い込んだ」(市村氏)。しかし、07年に「発掘!あるある大事典II」で番組制作サイドでの捏造(ねつぞう)が発覚。以後はそれまでの反動のような格好で納豆市場全体の売り上げが下がった。ただ、タカノフーズ自体はほとんどダメージを受けなかったという。

こうしたあやふやなメディア発の情報に対して、しっかりと根拠を持つ商品づくりと情報発信を目指して、タカノフーズは先手を打っていた。それが1985年に設立した自前の研究所だ。

 

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