サバイバル経営Q&A

現場が疲弊する「ものまね人事」 従業員の意欲低下招く サバイバル経営Q&A 白井旬・職場のSDGs研究所代表

経営 人材 SDGs

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

人事政策は企業の背骨のような重要事です。しかし、いろいろな新手法やアプローチがもてはやされる傾向が強まっていて、企業経営者が踊らされてしまうケースもあるようです。今回の相談は「新たな人事制度に社員が冷ややかな反応を見せるようになってきた」です。職場のSDGs研究所代表の白井旬氏が実例に沿って回答します。

近畿地方でウェブ関連のソリューションを開発・販売している会社を経営しています。最初は友人数人と一緒に始めた会社でしたが、おかげさまで業績が好調で、従業員数も200人を超えるまでになりました。その一方で、組織が大きくなるにつれ、マネジメントに関する様々な課題が出てきました。そこで、人材育成や組織活性化の施策などに関する勉強会で自ら学び、マネジメント関連の本を読むなどして、「これは良い」と思ったものを、次々と導入してきました。最初は「最先端ですね。頑張りましょう」「A社と同じ仕組みですね、楽しみ」と言ってくれていた社員も最近は「また新しいことですか?」とか「やっと慣れてきたところなのに」と、反応が薄くなってきているように感じます。

私自身も複数の会社を経営しているので、経営者の「常に新しいものを追い求める」という気持ち(期待感と焦燥感の両方)は、痛いほどよく分かります。

これが、新規商材などであれば、何がヒットするか分からないVUCA(ブーカ=変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)な時代において、「トライ&エラー」でいろいろと試してみることは一定の理解が得られると思われます。顧客から「何か新しいものはない?」「最近のトレンドは?」といった声を聞くことも多くあります。

しかし、人材育成や組織開発に関わる組織全体やマネジメントの問題となると、少し慎重に事を進める必要があると思われます。

今回のご相談内容は、前回の記事「危機招くトレンド経営 学び直しやDXに踊らされない」(2023年4月20日公開)でご紹介した「トレンド経営」「ハコモノ組織」「モノマネ人事」のうちの「モノマネ人事」に近い状態かと思います。

「モノマネ人事」とは、他社で成果を上げた施策について、セミナーや関連書籍でその手法を表面的に学び、自社内で展開したものを指します。直近だけでみても「コーチング」「ファシリテーション」「1on1(ワン・オン・ワン)」「フリーアドレス」「人事評価制度」「360度フィードバック」「フラット型組織」などがあり、「モノマネ人事」のケースが多く見受けられると考えます。

 

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

経営 人材 SDGs

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。