日経SDGsフォーラム

次世代オフィス 一人ひとりの「快適」追求し生産性向上 アズビル、計測・制御技術で働きやすさと省エネ両立

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オフィスビルや工場の省エネは温暖化対策を進めるうえで重要な課題の一つだ。環境負荷を低減するとともに、働きやすさや生産性・安全性の向上を追求する視点も要る。経済の成長とSDGs(持続可能な開発目標)を両立させるためには、エネルギーを有効活用する計測・制御技術の進化が欠かせない。

アズビルの藤沢テクノセンター(神奈川県藤沢市)にあるカフェ型ワークスペースで、次世代空調システムの実証実験が進んでいる。暑いと感じればスマートフォンの操作で、天井から自分に吹く風量を強めることができる。涼しい場所はブルー、暖かいところはオレンジ色の照明で表現し、居心地のいい場所も見つけやすい。空調を一律で制御するのではなく、一人ひとりが快適に過ごせ、コミュニケーションが活発になる空間づくりを目指している。

同社は計測・制御機器メーカーで、ビルの空調や工場の生産システム、ガス・水道メーターなどをグループで手がける。1906年の創業時は「人間を苦役から解放する」という理念を掲げ、オートメーションによる効率化で近代工業化を下支えしてきた。最近、顧客企業から求められるのは環境保全や働き方改革、生産の高度化への対応だ。時代の変化に応じて理念を「人を中心としたオートメーション」に進化させ、個人の満足感や企業の成長に貢献するというSDGsの視点も欠かせなくなってきた。

生産性や空間の質を向上させながら、エネルギー使用量を適正に抑制する。この最適なバランスを実現することは簡単ではない。大きなビルだと温度や湿度、圧力などの計測対象は10万点にのぼる。全国4000棟のビルの状態を常に把握し、集めたビッグデータを分析して更なる省エネや高付加価値提案に活用している。化学工場などで使う大型バルブもクラウドで稼働状況を常時監視し、修繕や交換の必要性を診断する。センサーの高機能化に加え、人工知能(AI)で分析力の向上にも力を注ぐ。

顧客企業の現場に深く関わることはSDGsへの貢献にも直結する。温暖化対策では顧客の目標設定から協力し、設備の提供や運用、メンテナンスまで手がける。2021年度には顧客企業の現場で合計294万トンの二酸化炭素(CO2)削減効果に貢献したという。自社グループの排出量の約160倍にあたる。30年度にはこれを340万トンまで増やし、すべての新製品をリサイクル可能な設計にする計画だ。

温暖化ガスの削減は待ったなしの課題であり、サプライチェーン(供給網)全体での取り組みが求められている。持続可能な地球環境を目指すうえでBtoB企業の役割は一段と重みを増している。

(編集委員 半沢二喜)

アズビル・山本清博社長 一人ひとりが満足できるSDGsに


人が快適に感じる温度はそれぞれ違います。暑がりや寒がりの人がいますし、窓の近くにいたり営業先から帰ったりすると暑く感じるでしょう。様々な要素が組み合わさるなかで、人がいる空間の質を常に高めて、かつ使用エネルギーを最小にすることを当社は目指しています。
昔、大先輩に「省エネのためにビルを建てる人はいない」と諭されたことがあります。あくまでも目的は生産性の高い仕事や価値を生み出すことであり、エネルギーを最小化するためではないと。今でも肝に銘じています。工場の生産ラインも働きやすく、安全で安定した稼働が大前提です。快適さと省エネは通常トレードオフの関係になりますが、計測と制御によるオートメーションの力でこの難しい課題を突破したいと考えています。
我慢による省エネは持続的とは言えないでしょう。人を中心に据えた発想に立ち、一人ひとりがどういう状態であれば満足するのかを知ることが重要になります。当社は人々の安心、快適、達成感を実現することを理念に掲げています。快適さについては体温や血圧・血流の測定、画像センシングで測ることも可能でしょう。達成感もモニターできるようになると個人的には思っています。測れるものが増えれば制御できるものが増え、アプリケーションも広がっていきます。
2年半かけて3000人を超える社員と対話をしてきました。様々な判断をするうえで社員の皆さんがどういう気持ちで働いているかを知る必要があると思ったからです。それぞれの現場で着実に仕事をすることがSDGsへの貢献にそのままつながるのだと繰り返し伝えています。未来を担う子どもたちのためにも頑張らなければいけないと思っています。

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