NIKKEIブルーオーシャン・フォーラム

海洋プラごみ解決目指す企業連携組織「CLOMA」加速

SDGs 海洋保全 循環型経済

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海洋プラスチックのごみ問題解決を目指す企業連携組織「CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)」が、社会貢献に通じる新ビジネス創出の動きを加速している。会員相互の協業を通じた実用化が相次ぐ一方、世界的な廃プラ規制のルールづくりも目指す。「NIKKEI ブルーオーシャン・フォーラム」が2023年4月5日に開いた第2回有識者委員会で講演したCLOMAの澤田道隆会長(花王会長)は、「日本のソリューションモデルを発信して国際的な存在感を高めていきたい」と意欲をみせた。次世代を担う子供らの環境保全の意識向上にも目を配り、プラスチックのサーキュラーエコノミー(循環経済)実現を目指す。

19年に創設したCLOMA は素材・容器メーカーのほか商社、流通、食品、リサイクルなどプラスチックのサプライチェーンを担うさまざまな業界から492社が参加。東京都や大阪市などの自治体もオブザーバー会員として加わる。

20カ国・地域(G20)首脳会議で採択された、新たな海洋汚染を50年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有。澤田会長は「プラスチックの3R(Reduce=減らす、Reuse=再利用、Recycle=リサイクル)にReplace(代替素材への転換)を加え、循環利用技術の開発・普及を総合的に進める」と話す。

具体的なポイントは(1)プラスチック使用量削減(2)容器・包装などのリサイクル率向上(3)化学的リサイクル技術の開発(4)生分解性プラスチック開発(5)紙・セルロース素材開発(6)分別回収システムの高度化――などだ。CLOMAは研究会などを主催して会員企業同士のビジネスマッチングを促し、新ビジネスを生み出すプラットフォームの役割を担う。

CLOMA企業の事業化は19年の6件から22年には35件まで拡大した。ファミリーマートは、カネカの生分解性ポリマーを使用したスプーンを東北・関東の店舗で使えるようにしたほか、凸版印刷が開発したプラスチックボトルからの代替が可能な紙パックは、コーセーが日やけ止めクリーム製品向けに採用している。ヨシモト印刷、日本製紙、三井化学の3社は共同で新しい環境配慮型紙パッケージを開発した。

海外連携ではインドネシアの「NPAP(=National Plastic Action Partnership)」とのワーキンググループが発足し、フィリピン、ベトナムとの連携も視野に入れる。日本と欧州連合(EU)企業のリサイクル技術の情報共有、今後の課題についての意見交換会を開催するなど、国際的な潮流の動きを会員企業にリアルタイムで伝えている。

さらに「未来デザインタスクフォース」がこの夏をメドに政策提言する計画だ。素材、容器、小売り、IT(情報技術)、金融などの若手メンバーで構成した。地球の環境保全は理想論だけでは進まない。国際的なルール作りで各国が激しく主導権争いを展開する世界でもある。欧州主導でプラスチック規制強化の流れが強まるなか、日本の技術・製品が市場から締め出されることを防ぎ、ルールメーキングの一画を担う狙いだ。

(松本治人)

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