ヒットの軌跡

「レッツノート1択」の理由 ビジネス仕様へ振り切り ノートパソコン「レッツノート(Let's note)」(上)

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ビジネスパーソンが仕事で愛用するノートパソコンの代表格がパナソニックの「レッツノート(Let's note)」だ。顧客満足度調査や法人向けシェアでは軒並み国内トップ。内外のブランドがひしめく市場にあって、この強さは異例とも映る。なぜこれほどビジネスシーンでの支持が厚いのか。レッツノート事業を手掛ける、パナソニックホールディングス傘下のパナソニック コネクトを訪ねて理由を聞いた。

レッツノートはノートパソコンの先駆けではない。初代の「AL-N1」が発売されたのは、OS「ウィンドウズ95」出現の翌年にあたる1996年。世界初のノートパソコンといわれる「ダイナブック」を東芝が発売したのは89年で、レッツノートの登場時点で既に国内市場では複数のブランドが競い合っていた。

しかし、AL-N1は売れた。人気の理由は軽さと高性能のバランス。当時のノートパソコンは重量2キロ台が当たり前。しかし、N1はB5サイズで1.5キロを切った。長時間の使用に耐えるバッテリーもユーザーを驚かせた。「レッツノートのDNAは当時から受け継がれている」と、パナソニック コネクトのモバイルソリューションズ事業部共通技術総括部の田中慎太郎氏は四半世紀を超える系譜をひもとく。

「日経コンピュータ 顧客満足度調査 2023-2024」で、レッツノートはノートPC部門で2年連続の顧客満足度1位に選ばれた。法人向けウルトラポータブルPCでも国内トップシェアだ(IDC Japan調べ)。要するに、ビジネスパーソンからの支持が圧倒的なのだ。実際、東海道新幹線の車内ではスーツ姿でレッツノートのキーボードをたたく乗客を通路の左右で見かけることがある。特徴的な天板の景色が「動くオフィス」の雰囲気を醸し出す。

もともとは群雄割拠の感があったノートパソコン市場で、なぜレッツノートだけがこれほどまでに支持を得たのか。田中氏の答えは明快だ。「軽量、長時間、頑丈、高性能という4つのコンセプトを守り抜いてきたから」だという。同時に「モバイルで働く」というワークスタイルにきちんと寄り添ってきた点を理由に挙げる。ブランドサイトの冒頭には「レッツノートは働く人のためのパソコンです」と高らかに宣言されている。ここまで言い切る他のPCブランドはまず見当たらない。

「4つのコンセプト」を貫くのが難しいのは、それぞれが相いれないからだ。軽くすれば壊れやすくなりがちで、長時間型バッテリーを積めば重くなる。高性能パーツを搭載しても重くなる。あちらを立てればこちらが立たずの関係にあり、両立が難しく、ましてや4つは至難だ。しかし、「初代の開発当初から小型モバイルは必達のミッションだったので、開発現場は4条件のクリアを目指した」(田中氏)。

4条件を掲げた背景には、「当初からビジネスパーソンを主なユーザーに想定していた」(田中氏)という経緯がある。かつてのノートパソコンはメーカーごとに目指す使われ方や製品イメージがまちまちだった。音響系に強い企業は動画やサウンドの高品質性能を押し出し、パソコン専業メーカーは処理機能や拡張性を競った。多くに共通していたのは、もともと強みとしてきた自社の特徴を写し込む試み。ユーザーに寄り添うというよりは、各社の持ち味を生かした「腕比べ」のような雰囲気があった。

 

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