日経SDGsフェス

女性リーダー育てよ 突破力で課題を解決(2) 「ジェンダーギャップ会議」企業講演

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日本経済新聞社と日経BPはリアルとオンラインのイベント「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト」のジェンダーギャップ会議(後援・内閣府)を2022年12月9日に東京都内で開催した。「女性リーダー育成を止めない、ダイバーシティー経営の本気」をテーマに、女性活躍の先進企業が取り組みを紹介した。パネル討論では人材育成に力を入れる企業の実例のほか、ダイバーシティー(多様性)の推進者が課題解決への突破力についてそれぞれ話し合った。今回の催しは日経SDGsフェスの一環。(肩書は開催時点)

日本経済新聞社と日経BPは2022年12月5日〜10日、様々な立場の人々や企業とともに、経営、投資、環境、ジェンダーなど多様なテーマについてSDGsの実現を議論する国内最大級のイベント「日経SDGsフェス」を開催しました。

このうち、12月9日に開催したトラック「ジェンダーギャップ会議」のプログラムから企業講演をダイジェスト版でご紹介します。

【企業講演 】成長の源泉は「人財力」

大和証券グループ本社常務執行役  白川 香名 氏

企業の存続と成長の源泉は「人財力」である。現在、女性が長く働くことができるようハード面、ソフト面で各種人事施策の整備を進めているが、ジェンダーギャップが完全に解消されたとは言えない。

女性にも活躍の場と機会を提供することは重要ではあるが、男性が享受しているものと同じものを提供しただけでは問題は解決されないのではないか。性差の違いを考慮しそれぞれに公正、公平なサポートが提供される状態が必要である。女性の社会参画は、いわば急勾配の階段を上っている状態にある。階段の先の男性社会は同質性を背景とした強固な関係が存在し、疎外感を感じる女性が少なくない。この疎外感を薄めるためには、男性女性それぞれのアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み、偏見)を排除することが重要だ。

男女問わず、男性がリーダーで女性は補助と自然に考えてしまう空気がある。このような性別による向き不向きではなく、焦点を個人とし、その強みを生かす方向で考えれば、見える世界や言動が変わる。ジェンダーギャップの解消に向けて各種制度、研修はもちろん、登用、評価についても見直しを進めてきた結果、九十数%の従業員満足度を実現した。しかし、それが必ずしも生産性や業績の向上につながらない可能性もあった。

そこで導入したのが匿名の社員意識調査、エンゲージメントサーベイ(社員と組織の状態を可見化する診断ツール)だ。この結果を分析し、各現場で改善に向けたPDCA(計画・実行・評価・改善)のサイクルを回せば、おのずと生産性向上に結びついてくると考える。

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【企業講演】個人特性に応じ描くキャリア

東京センチュリー 取締役 専務執行役員  原 真帆子 氏 (リモート登壇)

当社のダイバーシティーの取り組みは、企業風土の醸成、多様な人材の活躍推進、キャリア形成と能力開発の支援、両立支援の充実の4つの柱で推進。企業風土の醸成は、アンコンシャスバイアスや心理的安全性、LGBTQ(性的少数者)などに関する研修を設け、より理解の促進に努めている。また多様な人材活用のために、外国籍、中途採用者、障害者の雇用促進にも注力。女性の活躍推進では、新卒採用に占める女性比率30%以上、管理職に占める女性比率30%以上を目標に掲げ、新卒採用に占める女性比率は6年連続で達成した。

今後、企業が勝ち抜いていくためには人的資本を厚くし、いかに企業に貢献できる人材を育成、確保できるかが大きなポイントとなる。かつてのように、全員に同じ研修をし、ジョブローテーションの中から登用するやり方は非常に難しい。きめ細かで個人の特性に合わせた対応が重要。そこで当社では、キャリアチャレンジ制度を導入し、自分の適性やプロフェッショナリズムを見つけるためのサポートを行っている。また、個人の成長につながるような業務外目標を必ず与えている。直属の部下とは週1回程度1on1ミーティングを持つことも効果的だ。

昨今、ダイバーシティーという言葉だけが先行し、女性や様々なバックグラウンドを持つ人たちをそろえることが企業目標のようになっている傾向を感じる。 個々人が意見を言いやすい環境をつくることがまず重要。それにはいろいろなコミッティーやワーキンググループをつくり、多くの人が意見を言いやすい環境をつくることが有益である。

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【企業講演】全員で取り組む「4つのフリー」

東京海上日動火災保険 常務取締役 吉田 正子 氏

当社はジェンダーフリー、エイジフリー、ボーダーフリー、ワークスタイルフリーの4つのフリーを軸に、多様性や包摂性(D&I)の取り組みを加速させている。社員の約6割が女性であることから、ジェンダーギャップ解消を最優先課題として、会社や組織のあらゆる意思決定の場に、女性が当たり前に参加している状態を目指している。

一方で、女性社員からはリーダーとしての責任にプレッシャーを感じ悩む声もあり、女性参画とエンゲージメントの向上との両軸で推進していくことが重要だ。

制度や仕組みは、女性たち自身が働き続けたい、仕事が楽しい、もっと頑張りたいという思いがあってこそ生きる。各種制度の活用につなげるにはコミュニケーションの強化が必須。現在、コミュニケーションや自己開示の場として、役員や社員同士が真面目な話を気楽に語り合う場を全国各地の各組織単位や、様々なグルーピングで開催。オフサイトのネットワークも生まれ、ジェンダーギャップ解消に向けたイベント企画など、新しい輪が広がっている。

女性の役員や管理職を増やす、育てるという結果が注目されがちだが、D&Iとは性別、年齢、国籍などを問わず、人には多様な考え方や思いがあることを理解し、自分の思い、強み、目指す方向は何なのかということを考え、自らも発信し他人から学び、成長することにある。それによってD&Iはチーム力を高め、イノベーションを起こす。一人ひとりが自分のアンコンシャスバイアスに気付き、フラットに仕事と向き合うことが会社の成長につながる。

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【企業講演】会社全体の風土改革が必要

アフラック 代表取締役社長  古出 真敏 氏

ダイバーシティー推進はそれ自体が目的ではなく、イノベーション企業文化を醸成し、会社を変革するための手段である。そのうえで最も重要なのは、トップの責任であり、経営の本気度を社員にも伝えることが大切だ。

当社では役員が一丸となって人財育成を進めている。2015年より役員による社員の「メンタリング(面接)」制度を実施している。社員がメンタリングを受けたい役員を希望することができ、社員のマインド醸成やキャリアプラン形成の場として効果をあげている。役員にとっても社員の話を聞いてお互いに学ぶことができる機会となっている。

当社は21年から人財マネジメント制度の抜本的な改革に着手している。その中で、一人ひとりが主体的にキャリアを切り開いていくための支援として、「キャリア開発計画書(CDP)」を全社員に展開している。

CDPは、当初女性社員とその上司が育成のために作成していた「育成計画表」が発展したものである。メンタリング制度も育成計画表も、当初は女性社員が対象だったが、現在は全社に広がっており、男女問わず多くの社員が活用している。

アジャイル(機動的)推進などの新しい分野に、女性リーダーを登用した。18年に日本法人化した際、プロジェクトリーダーは女性役員だった。女性活躍とダイバーシティー推進が会社を変える機運を盛り上げるきっかけになっている。社員一人ひとりが多様な個性で意見をぶつけ合い、イノベーション企業文化の醸成に向けて、取り組みを加速する。

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