ChatGPTができるタスク
ChatGPTは前述のGPT-3.5やGPT-4といった言語モデルをベースにした会話型サービスです。言語モデルは、人間が日常的に使っている言葉(自然言語)を機械が理解し、処理するための技術である自然言語処理(NLP)の1つです。
NLPには、いくつかの主要なタスクがありますが、ChatGPTは入力プロンプトを介してこれらのタスクに直接的または間接的に対応することができます。1種類のタスクだけでなく、同時に複数のタスクを指示して回答させることも可能です。たとえば、ある文章を要約した上で、その文章がネガティブもしくはポジティブな内容だったのかを一緒に回答させることもできるのです。
サービス提供形態
2023年5月時点では、3種類のChatGPTのサービスが提供されています。1つ目はオープンAIが提供する専用のウェブサイトから無償で使える「ChatGPT」です。
2つ目は、2023年2月に有償のサービスとして公開された「ChatGPTプラス」です。このサービスは、月額20ドルで提供される代わりに、ChatGPTの利用者が多い時にでも優先的にアクセスできたり、新機能や改良版をいち早く試したりすることができます。
3つ目は、2023年3月に公開された、Pythonなどのプログラミング言語と連携して使うことができる「ChatGPT API」です。ChatGPT APIは使った分だけ料金が発生する従量課金制を採用しています。オープンAIは2023年4月に、データ管理を必要とする人や、エンドユーザーを管理したい企業向けに、「ChatGPTビジネス」というプランを開発中と発表しました。
それから、ChatGPTはオープンAIが提供する環境だけでなく、マイクロソフトが提供するクラウドサービス「アジュール・オープンAIサービス」でも利用することができます。このサービスを使うことで、マイクロソフトのクラウド基盤のセキュリティ、信頼性、拡張性などを享受することができるので、ビジネスでChatGPTを活用したい場合でも、安心してシステムを構築できるようになりました。
2023年5月24日には公式のiOS用ChatGPTアプリがリリースされ、ウェブブラウザだけでなく、スマートフォンのアプリとして使えるようになりました。 ChatGPTアプリは、オープンAIが開発したオープンソースの音声認識システム「ウィスパー(Whisper)」を搭載していて、従来のテキスト入力だけでなく、音声入力にも対応しています。このChatGPTアプリは、アメリカを含む11カ国からスタートし、順次利用可能な地域や国を拡大予定です。
使い方が広がる拡張機能080
オープンAIは、2023年5月に「プラグイン(Plugins)」と「ウェブブラウジング(Web Browsing)」の2つの拡張機能の提供を開始しました。これらの機能は、有償サービスのChatGPTプラスでベータ版の扱いで使うことができます。(2023年5月末時点)
①プラグイン
ChatGPTの「プラグイン」は、他社が提供するサービスとChatGPTを接続して、ChatGPT上で新しいサービスを提供する拡張機能です。プラグインは2023年5月末時点で160社以上の企業から提供されており、ChatGPT プラスユーザーは設定画面からどのプラグインをインストールするか、選択することができます。
たとえば、大手オンライン旅行会社のエクスペディアが提供するプラグインでは、旅行の日程、宿泊人数、宿泊したいホテルのランクなどを伝えると、エクスペディアのサイトと連携して希望に近い宿泊先を回答してくれます。なお、宿泊先だけでなく、航空会社のフライトや、現地でのアクティビティについても提案してくれるのです。
日本の企業もプラグインの提供を始めています。グルメサイトの食べログが提供するプラグインでは、場所、日程、ジャンルなどを伝えることで、予約可能なおすすめのレストランを回答してくれます。それ以外にも、自分が知りたいニュースのジャンルを伝えると、世界中のニュースサイトから関連するニュースのタイトルと概要を翻訳して伝えてくれる「ワールドニュース(World News)」や、特定のウェブサイトのURLを伝えると、そのサイトの内容を要約して回答してくれる「ウェブパイロット(Web Pilot)」など、さまざまなプラグインが登場しています。
なお、このプラグインで提供されるサービスを開発するためには、2023年5月時点ではオープンAIのウェイティングリストに登録し、連絡が来るまで待つ必要があります。
②ウェブブラウジング
ChatGPTの「ウェブブラウジング」は、ChatGPTでインターネット検索ができる新しい拡張機能のことです(2023年5月末時点で、名称が「Browsewith Bing」に変更になっています)。
ChatGPTは、2021年9月までのデータを使って学習されています。そのため、たとえば最新の天気予報を聞こうとしても、回答することができませんでした。しかし、ウェブブラウジングを有効にすることで、ChatGPTがインターネットを検索して最新の情報を取得した上で、回答できるようになりました。単純に回答するだけでなく、どのウェブサイトを参照してそのように回答したのかわかるように、引用元のリンクをあわせて表示してくれます。
ウェブブラウジング機能は2023年5月時点では、ChatGPTプラスユーザー向けに提供されていますが、ChatGPTの無料ユーザー向けにも提供を予定しています。