日経SDGsフェス

物価上昇で預貯金目減り 2023年は資産運用の好機 「資産運用会社の未来像プロジェクト シンポジウム〜来たる国民の資産倍増に向けて」

ライフプラン ESG 金融

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日本経済新聞社と日経BPは12月8日、「資産運用会社の未来像プロジェクト シンポジウム〜来たる国民の資産倍増に向けて」を室町三井ホール&カンファレンス(東京・中央)を会場にオンラインでも同時に開催した。岸田政権が資産所得倍増計画で「貯蓄から投資へ」を促すとともに、地球環境の問題は投資対象企業の成長・持続のポイントも大きく変えている。投資の最前線に立つエキスパートらが一堂に集い、資産運用の現状と課題、変化のポイントを議論した。

日本経済新聞社と日経BPは2022年12月5日〜10日、様々な立場の人々や企業とともに、経営、投資、環境、ジェンダーなど多様なテーマについてSDGsの実現を議論する国内最大級のイベント「日経SDGsフェス」を開催しました。

このうち、12月8日に開催したトラック「資産運用会社の未来像プロジェクト シンポジウム〜来たる国民の資産倍増に向けて」の模様をダイジェスト版でご紹介します。

◇     ◇     ◇

【オープニングセッション】若い人は時間を味方に

フリーアナウンサー 高見 侑里氏
◇聞き手 日本経済新聞社 金融・市場ユニット マネー報道グループ長 手塚 愛実

手塚 これまでどんな資産運用をしてきたか。

高見 マイホームを買うという夢に向けて資産づくりをし、3年前に夢を実現した。

手塚 どのような運用をしたか。

高見 母から、積極的に運用したほうがいいといわれ、分配金の安定している不動産投資信託(REIT)を購入した。運用期間は約10年だ。少額投資非課税制度(NISA)を利用してREITのほかに個別株も買っている。

手塚 投資先の企業はどう選んでいるか。

高見 最初は迷ったが、資産を増やそうと思うと値動きが気になるので、日ごろ利用している商品のメーカーなど身近な企業の株を、その会社を応援するつもりで購入している。株主優待も考慮して株式投資を楽しんでいる。

手塚 今、20〜30歳代で投資に興味を持つ人が増えていて、NISA口座も他の世代に比べて伸びが大きい。

高見 確かに口座を持つ人はここ数年でぐっと増えている。子どもができたり、病気になったりしたら、いくらかかるか、将来のことは見えないので、不安が大きい。

手塚 年金のことは考えているか。 

高見 あまりあてにはしていない。将来はどうなるかわからないと感じている。

手塚 公的年金制度は破綻しないにしても、将来年金だけで暮らせるとは考えられない。

高見 「老後2000万円問題」も、2000万円でどんな暮らしができるかわからない。自分自身は、趣味のバイオリンにかけるお金やワインの学校へ行くためのお金が必要。国内外へ旅行もしたいのでお金のゆとりがほしい。

手塚 預貯金は金利が低いうえに、最近は物価も上がっているので資産運用は必要だと思う。

高見 20歳代や30歳代はどのように資産を運用したらよいのか。

手塚 基本は長期・分散・積み立てだ。若い人にとって時間は最大の武器。相場は短期的には変動するが、長期的に経済が成長するのであれば資産もつくれる。つみたてNISAや個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)など税制優遇のある制度を使うのが賢いと思う。

高見 ESG投資にも関心がある。

手塚 Eは環境、Sは社会、Gは企業統治を意味する。環境問題やダイバーシティーなどに取り組み、法令を順守した企業が長期的に成長するという考え方だ。

高見 持続可能な社会の実現に役立つなら、知識を深めて前向きに取り組みたい。

◇     ◇     ◇

【トークセッション】 運用だけでなく情報発信も

野村アセットマネジメントCXソリューション部長 野口 裕史氏
ピクテ・ジャパン資産運用コンサルティング本部長 北根 久之氏
りそなアセットマネジメント未来資産形成ラボ 所長 南川 久氏
あおぞら投信取締役会長 柳谷 俊郎氏
◇聞き手 日本経済新聞社 日経ヴェリタス編集長 塚本 奈津美

野口 当社はインベストメント・チェーンを通じたサステナビリティーの実現に積極的に取り組んでいる。インベストメント・チェーンとは投資の好循環のこと。個人が投資信託を購入し当社がその運用を行い、リターン獲得のためによい企業を選ぶ。その際、企業価値向上のための対話を通して企業の変化を促す。それが株価に反映され、投資信託を購入した投資家の資産を増やしつつ、社会的価値の創出にもつながる。

具体的な取り組みの一つが地域金融機関と国、投資家の志をつなぐ寄付スキーム。信託報酬の一部を企業版ふるさと納税のスキームを使って地方公共団体のSDGs(持続可能な開発目標)関連事業に寄付。すでに33道府県の50の地方金融機関で扱っていただいている。

投資教育や社会貢献を担う資産運用研究所では、教育機関で投資体験ゲームを軸にした講義を実施。東京大学発の知識集団「クイズノック」とお金にまつわるクイズなどをイベント形式で行う全国出張授業「お金を育てるキャラバン」も始めた。投資教育では、相場に一喜一憂しない長期の取り組み、変化に対応するための分散投資、時間を味方につける積み立てという3つの重要性を伝えていきたい。

北根 2022年は米国株と米国債が共に大きく下落する未曾有の環境で、分散投資の効果が発揮されにくく、世界金融市場の中心の米国で何に投資していても負けてしまうような状況だったが、これこそが金融引き締め局面というものだ。

1998年からのMSCIワールド指数の推移を見ると、大きな下落は2回で、どちらも金融緩和から引き締めに転換したときだ。金融緩和の最終局面では多くの人が大きなリスクをとっており、転換のダメージが大きい。ITバブルのときは日本の投信残高の8割が日本株で、ITバブル崩壊により資産が半減。リーマン・ショックのときは、リスク資産はもとより、為替リスクを内包した海外債券型ファンドが多く、為替の影響で大きく資産を減らした投資家が多い。過度のリスクテイクや資産配分の偏りは大きなダメージをもたらす。

運用成果の約9割はアセットアロケーションで決まる。資産配分は自分で決めるだけでなく、人に任せることもできる。当社ではどちらにも役立つ動画コンテンツやリポートを用意している。

南川 りそなグループは3つのサステナビリティー長期目標を設定している。具体的には、リテール・トランジション・ファイナンス目標、カーボンニュートラル目標、女性登用・活躍推進の拡大目標だ。

運用会社としては、持続可能な社会の実現に向けた商品として日本株式とグローバル株式のインパクト投資ファンドを設定した。ファンドの投資先を紹介した読み物としても楽しめるインパクトレポートも発行している。若手女性社員が作成しており、女性登用・活躍推進を実践している。2022年11月には中長期の目標リターン明示型のバランスファンドとESG投資を組み合わせたラップ型ファンドを設定した。将来世代へ向けて、ニュースを基に自分のお金について考えるコンテンツと将来のライフプランを考える事前課題に基づいたコンテンツを使った金融教育の授業も実施している。

資産形成はまず目標を立て、つみたてNISA対象のものからファンドを選んで、積み立てを始めたら途中でやめないことが重要。少額でもよいので投資の第一歩を踏み出してほしい。

柳谷 投資は豊かな人生を過ごすためにするものであり、人生の様々なイベントに備えるのが資産運用だ。重要なのは長期分散で、早い時期から少しずつコツコツ投資するのがよい。

当社はお客様の資産を全力で守り育て、ニーズや利益に合致した商品を開発・提供し、世界への投資機会を提供することを理念としている。

投資では本源的価値が向上するものにお金を投じるのが最も期待リターンが高い。価値向上には時間がかかるので、長期に成長するところにお金を投じる必要がある。それがどこであるかの判断は個人では難しいが、投資信託ならそれをプロに任せることができる。

個人投資家はどの程度のリターンを目指せばよいかわからないので、当社では物価上昇を上回る年率3%を目指すゴールベースアプローチのファンドシリーズを設定。限定追加型で、5年で15%目標、10年で30%目標の2タイプがあり、いずれも世界の株と債券に徹底的な分散を行うとともに、ファンドの中に時間分散を組み込んでいる。すでに目標を達成したファンドも多く、個人投資家に成功体験を得てもらっている。

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