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アドテック東京、広告マーケティングの最新技術を共有 国内外の専門家らが講演・ワークショップ 2日間で1万人超が来場

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コムエクスポジアム・ジャパン(東京・港)は2023年10月19、20日、マーケティングに関するアジア最大級の国際カンファレンス「ad:tech tokyo(アドテック東京)」を東京・六本木で開催した。国内外の専門家や企業関係者が最新の広告マーケティングの成功事例についての講演やワークショップを実施した。主催者によると会場に足を運んだ来場者数は前年比23%増の1万258人に達した。

アドテック東京は今年で15回目となる。これまで開催前日までに申し込めば無料だったビジターパスを有料化したが、来場者数は前年を2割上回った。デジタル技術を活用した最新の広告マーケティング手法などへの関心の高さをうかがわせた。登壇者の発言を人工知能(AI)が日本語と英語に自動翻訳して来場者に見せる仕組みを初めて採用したことも注目を集めた。

国内外のゲストらによる講演はホテル「ザ・リッツ・カールトン東京」で開かれた。初日はオープニングセッションを含めて5つの講演・対談があった。

オープニングセッションには、パナソニックコネクト執行役員の山口有希子氏、ネットイヤーグループ取締役の石黒不二代氏、電通執行役員の鈴木禎久氏が「いま、トップマーケターが注目していること」をテーマに対談。山口氏は「日本でも年間1300億円のデジタル広告詐欺がある。すべてのマーケティングの活動の中で、社会と地球に対する責任が広告主に問われている」と語った。石黒氏は「すべての企業がIT企業になっていかなくてはならない。マーケターがテクノロジーを使いこなすあるいは生み出すことを勉強していただけたら」と技術面の重要性を指摘した。鈴木氏は「(広告業界は)失われた30年間とコロナ禍の3年間はレジリエント(強じん)な経営に挑戦してきたが、人的資本経営に向けて社員のモチベーションを上げたい。我々が培ってきたモノが再生して伸びていくヒントが(アドテック東京の)会場にある」と話した。

最初の講演は「マーケティングを進化させるAmazon Adsの分析的アプローチ」をテーマにアマゾンアドジャパンの石井哲カントリーマネージャーとアサヒ飲料取締役の野村和彦氏が対談。アサヒ飲料の無糖炭酸飲料「ウィルキンソン」のアマゾンアドによる22年の販売促進キャンペーンを通じて新規顧客を拡大した事例について共有した。

デジタル技術で欧州席巻した宝飾ブランド

次にフランスのジュエリーブランド「Gemmyo」共同創業者のポーリン・ライグナウ氏が「いかにしてデジタル技術でヨーロッパ市場を席巻してきたか」をテーマに講演。同社はフランス国内で職人が製造した宝飾品の販売でデジタルマーケティングを最大限に活用。SNS(交流サイト)やインフルエンサーマーケティング、オンライン広告を駆使して若い世代の顧客をターゲットにブランドの価値観を伝えた。さらに、高品質な素材とデザインを使用しながら、直接顧客に販売することで中間コストを削減し、手頃な価格での提供を実現。購入者がオンラインでデザインをカスタマイズできる仕組みによって個性とユニークさを追求できたという。

音楽配信大手の米スポティファイの広告部門最高責任者であるリー・ブラウン氏は「エンゲージメントの重要性:コンテンツとイノベーションを通じて、日本の未来を担う世代とブランドはどのように深いつながりを築いているのか」をテーマに対談。ブラウン氏はスポティファイがZ世代に絶大な人気があると指摘した上で「(スポティファイは)オーディオ広告プラットフォームとしても機能している。広告主はターゲットユーザーに対して効果的な広告を配信できるだろう」と効果をアピールした。

初日のキーノートの最後は、サッカー元日本代表の槙野智章氏とAbema(アベマ)TVビジネスデベロップメント本部本部長の山田陸氏が、スポーツとマーケティングの可能性について対談。サッカーやプロ野球などのファンの人数の変化を分析しながら、それぞれのスポーツに適したマーケティングのあり方について意見を交換した。

マーケティングリーダーに必要な「顧客との信頼」

2日目は冒頭にWet CementのCEOであるジェニファー・ウィリー氏が「ESGが現代マーケティングに与える変革のインパクト」をテーマに講演。欧米では広告業界における炭素排出量を様々な方法で削減することを目指していると指摘。「広告業界は環境に対応し持続可能な未来を築くことができる。炭素排出削減に対応することは企業の評判や社会的な責任に影響を与え、将来のビジネスの成功にもつながる」と強調した。

続いて登壇したトーマス・バラタ氏は米マッキンゼーが主催するグローバル企業のCMO(最高マーケティング責任者)向け研修の講師を長く務めてきた。バラタ氏は世界の6万8000人以上の企業幹部を分析した結果を基に、マーケターに求められるリーダーシップについて講演。「顧客からの信頼を得て強固な関係を築くことで、長期的な成功を収めることができる。マーケティングリーダーとして信頼関係を重視し、(顧客との)信頼のギャップを埋めるための努力を続けてほしい」と力説した。

次の対談では「ブラックボックスな業界に透明性を問う」と題してネスレ日本元社長の高岡浩三氏とノバセル社長の田部正樹氏が、旧ジャニーズ事務所の性加害問題を受けたタレントの広告利用について話し合った。高岡氏は「100%株主のオーナー会社では、オーナーが暴走すると誰も止められない。取引した会社にしっかりしたガバナンス(統治機能)が無いと同罪になってしまう」と指摘。「安易に(旧ジャニーズ事務所の)タレントを使えば認知度が高くなると考えた広告主の問題でもあった」と語った。田部氏は「企業側にマーケティング人材が足りず、広告代理店に丸投げになっている」ことを問題点として指摘した。

最後に日経クロストレンドが主催する「マーケター・オブ・ザ・イヤー2023」の受賞企業と審査員による記念セッションも開かれた。

このほか、東京ミッドタウン内の複数の会場で7つのテーマを設定した公式セッションが開かれた。生成AIとどう向き合うかといった技術面や、非財務情報、人的資本経営などの新たな領域への注目も高かった。また、今回初めて事前申込制のワークショッププログラムを開催。参加者がファシリテーターとともに議論した。展示会場は昨年よりも出展スペースを大幅に拡大して約80社が出展した。

(原田洋)

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