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ウェルビーイング時代の上司像 心理的安全性の守護神に 『ウェルビーイング・マネジメント』著書 加藤守和(下)

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米グーグルが研究を重ねた末、結果を出すチームをつくるために最も重要だと結論づけたのが「心理的安全性」だ。新たなビジネステーマに浮上してきた「well-being」(ウェルビーイング)は心理的安全性と関係が深い。『ウェルビーイング・マネジメント』(日経BP)の著者で、組織人事コンサルタントの加藤守和氏は「職場でのウェルビーイングを実現するには心理的安全性が必須で、上司・チームリーダーはその守り手としての役割を期待される」と語る。ウェルビーイング時代の上司像と、現場での取り組み方を、加藤氏に教わった。

テレワークが広がって、チームメンバーが顔を合わせる機会は減った。各自がやりがいを感じ、帰属意識を強めるには、リアルな接点が大切だが、リモートワーク環境下では頻度が下がりがちだ。加藤氏は「上司・チームリーダーが自ら積極的にタッチポイントを増やし、距離を縮める必要性が一段と高まった」と指摘する。

新型コロナウイルス禍のせいで、チームに遠心力が働いただけに、オフィスに人が戻る状況になっても、メンバーとの距離まで元に戻るとは限らない。出勤具合はまだら模様が続きそうなのに加え、以前のような飲み会や会食は難しくなった。上司・チームリーダーがタッチポイントを増やしにくい状況ではあるが、「ランチ会や1on1などを組み合わせて、言葉を交わす頻度を高めたい」(加藤氏)。

時間と頻度を増やすだけでは十分ではない。心を開いて、率直に語ってもらうには、「心理的安全性が絶対条件になる」(加藤氏)。そもそも人事権を握る存在である上司と向き合う際、部下・チームメンバーの側は不利な立場に置かれている。相手は人事考課の当事者であり、マイナス評価を受ければ、望まない異動や待遇変更を強いられるおそれがある。だから、気持ちは守りに入る。構造的に「本音を明かしにくいシチュエーションだ」(加藤氏)といえる。

だから、上司・チームリーダーから進んで安全性を請け合うような態度を示すのが望ましい。要するに、「(何を話しても)人事考課に響かない」と相手に信じてもらえる振る舞いが求められる。「単に言葉で『何でも好きにしゃべっていいよ』と言うだけでは不十分」(加藤氏)。それには具体的な行動が必要だ。誰かの踏み込んだ発言を会議の席でとがめ立てせず、懐の深い態度で受け答えすれば、横で見ていた人たちも「あそこまでは踏み込んでも大丈夫なのか」と瀬踏みしやすくなる。

逆に、つっけんどんな応じ方は警戒感を呼び覚ましてしまいやすい。「いばりんぼ」もだめ。言葉尻をとらえて、食ってかかるのは論外だ。「ふーん」「あっ、そう」などと返事をごまかすのもよくない。腹の中が見えにくくなって、周囲を疑心暗鬼に駆り立ててしまうからだ。加藤氏は「人間味のある上司」をイメージするとよいとアドバイスする。朗らかで穏やかで親しみやすい。鷹揚(おうよう)でポジティブで、情に厚い。なかなかそこまでの人柄や資質を備えた人は多くないかもしれないが、「望ましい上司像」としてイメージするだけでも、振る舞いが変わってきそうだ。

 

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