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持続可能な未来へ 社会価値生むリースを提案 三菱HCキャピタル、「頼まれて貸す」黒子を脱す

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三菱HCキャピタルは2年前、旧三菱UFJリースと旧日立キャピタルが合併し、誕生した。新社名からリースの文字を外したのは、これまでのリース業界の枠組みやイメージを超えて、新たなビジネス領域に挑戦する意気込みを示すためだ。4月に就任したばかりの久井大樹社長のもと、SDGsへの積極的な取り組みは新たな経営理念の中核になる。

三菱HCキャピタルは4月、合併新会社として初の中期経営計画を策定した。経営理念として真っ先に打ち出したのが「社会価値を創出することで、持続可能で豊かな未来に貢献する」姿勢だ。SDGsへの取り組みを最優先項目に挙げたことになる。

リース事業の対象はコピー機から航空機まで幅広いが、もともとSDGs的な要素が強いビジネスだ。新規に設備を導入する際、買わずに借りる。返却された備品をまた、別の会社が借りる。資源を長く有効に使う姿勢は、SDGsにつながる。日本製の工作機械は中古でも人気があるので繰り返しリースされるし、航空機は大手から格安航空会社へと受け継がれる。

久井社長が描くビジネスの基本像は、頼まれた物を貸し出すだけではなく、顧客の現状や課題を踏まえた「提案型・コンサル型」のリース事業だ。これまでのリース事業は、顧客からの要望を受けて始まることが多かった。顧客企業のビジネスを陰から支える、いわば黒子的な存在だった。これから三菱HCキャピタルが目指す道は、「うちはこんなことができます。一緒にやりませんか」と、主体的に働きかけるビジネスだ。

実績は徐々に出ている。3月には東京ガスの脱炭素プロジェクトを、資金調達面も含めて支援するリース契約を締結した。福島県玉川村のデジタル化推進事業では、コーディネート役としてNTTデータ、日立製作所との連携を主導した。日本取引所グループの太陽光発電への取り組みを、共同で進める覚書も結んだ。いずれも三菱HCキャピタルが主体的に提案し、相談に乗り、協業する姿勢が実ったものだ。投融資の分野でも、水素航空機の開発を手掛ける米国のベンチャー企業に出資するなど、SDGsを意識した取り組みを強化している。

社員が明るく、幸福を感じる会社、社会から信頼され、尊敬される会社になるという久井社長が目指す理想を実現するには、従来のリース事業の枠組みを超え、これまで取り組んでこなかった領域にも挑戦する姿勢が必要だ。そこにSDGs的な視点や行動が加味されれば、理想的だ。山形県の除雪ボランティアに社員が自発的に参加するなど、その土壌はある。ここにどんな種をまき、育てるか。久井新社長の手腕に注目したい。

(編集委員 鈴木亮)

 

三菱HCキャピタル・久井大樹社長 新たな挑戦、何をやってもいい


SDGsは平たく言うと、「すべての人が幸福に生きるために必要なものを、みんなで守っていきましょう」というものです。私がSDGsを強く意識したのは、2015年のインドでした。貧困をなくそう、安全な水とトイレを世界中に、質の高い教育をみんなに、など17項目の目標が、当時のインドではすべて難しいなと感じたからです。
当時インドではモディ首相が主導し、企業は利益の2%をCSR(企業の社会的責任)に拠出するルールが打ち出されました。私たちは地方の小学校のトイレ整備に資金を出そうと決めました。当局と話を進めて愕然としました。「地方ではまず子どもたちにトイレの使い方から教える必要がある」というのです。トイレそのものを見たことがない子供たちが、世界にはたくさんいるのです。
日本は恵まれています。水もトイレも教育も、新興国に比べれば申し分ない環境です。この社会を将来世代に向けて守り、引き継ぐことが、私たちの責務だと思います。当社はSDGsに貢献し、それを長く継続する会社でありたい。
2年で完了すると宣言して始まった経営統合は、想定通り順調に進みました。2年前、幹部が使っていた社内の組織図では、旧日立キャピタルのコーポレートカラーである青色で書かれた部署名と、旧三菱UFJリースの赤色の部署名が併存していました。統合が終わった部署から黄色に塗り替え、2年たった今、組織図はすべて黄色になりました。基盤は整いました。リース会社は何をしている会社なのかよくわからないという指摘もありますが、逆に言えば、何をやってもいい会社でもあります。2023年4月、私たちの挑戦が始まります。

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