ひらめきブックレビュー

プロダクトマネージャーの本質とは 技術より対人スキル 『プロダクトマネージャーのしごと 第2版』

働き方 スキルアップ DX

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

IT(情報技術)やウェブを活用したプロダクト(アプリケーションやサービス)の増加に伴って、プロダクトの開発から販売までを総合的に管理する「プロダクトマネージャー」の重要性が増している。

では、プロダクトマネージャーは何をする仕事かというと、実は職責が不明瞭で仕事の内容も定義が難しいようだ。本書『プロダクトマネージャーのしごと 第2版』(永瀬美穂/吉羽龍太郎/原田騎郎/高橋一貴訳)は、プロダクトマネージャーの仕事の進め方を実践的に記す。ただ、具体的なツールを並べて解説する書ではない。どんなツールでも対処できない課題が発生するという前提に立ち、曖昧さや矛盾と向き合い、正解のない課題を乗り越えるための方法を指南するような書だ。

著者のマット・ルメイ氏はロンドン在住で、多くのプロダクトマネジメントを経験してきた著名なプロダクトリーダー。

「心地悪い」会話を避けない

私たちは、プロダクトマネージャーの仕事はプロダクトを「作る」ことだと思いがちだ。しかし、本書によれば、作る仕事よりコミュニケーションやファシリテーション(環境づくり)、チームの支援が多く、マネージャーとはいえ組織面における権限はほとんどない。これを理解せず、自分がプロダクトを作るつもりでボスであるかのように振る舞うと、チームと良い関係を築けなかったり、部下が「指示待ち」になったりしてしまう。

では、プロダクトマネージャーは具体的に何をするのか。著者は「COREスキル」をあげている。デザイナーや開発者、顧客などのステークホルダー(利害関係者)とのコミュニケーション(Communicate)、チームの組織化(Organize)、プロダクトのユーザーのニーズとゴールのリサーチ(Research)、日々のタスクの実行(Execute)という「人やものをつなげる」4つの仕事を指す。

コードを書くといったハードスキルより、対人関係に関わるソフトスキルが重要であることがわかる。チームの意見の不一致をまとめ、上司の誤りを正すといった「心地悪い」会話をこなすのもプロダクトマネージャーの仕事のようだ。

「唯一の正解」はない

著者が「私のプロダクトマネージャーとしての初日に必要だった」と述べる通り、本書の内容は早めに知っておくべきことが多い。例えば、近頃よく聞く「データドリブン」という考え方。言葉に踊らされてはいけない。まずは仕事に優先順位をつけ、意思決定することが重要であり、データはその意思決定に役立てるものだ。

本書は、著者がインタビューしたプロダクトマネージャーのリアルな経験談も、コラム形式で多数紹介している。チームがやりたいこととビジネスの間で板挟みになったり、「正しく」プロセスをこなそうとして失敗したりと多様な苦労話を読むうちに、プロダクトマネジメントに「唯一の正解」はないことを実感できる。

現場はいつも混沌としている。それでも、16の各章末にはとるべき行動が「チェックリスト」にまとめられており、一歩ずつ前に進む術が見つかるだろう。プロダクトに携わるすべての人の参考になる一冊だ。

今回の評者 = 前田 真織
2020年から情報工場エディター。08年以降、編集プロダクションにて書籍・雑誌・ウェブ媒体の文字コンテンツの企画・取材・執筆・編集に携わる。島根県浜田市出身。

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

働き方 スキルアップ DX

新着記事

もっと見る
loading

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。