ひらめきブックレビュー

50代の睡眠を改善する 快眠もたらす最も効果的な方法は 『働く50代の快眠法則』

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酷暑が続いている。夜寝苦しくて目が覚める人も多いだろう。しかし、それは暑さのせいではなく「年齢」によるものかもしれない。

本書『働く50代の快眠法則』は、50代以降の世代に焦点を当て、睡眠の改善法を説く一冊。50代は「ミドルエイジクライシス(中年の危機)」ともいわれる、不安定な心理状態に陥りやすい。また、夜中にトイレのために起きやすくなる問題もある。心身ともに不調になりやすく、策を講じないでいると睡眠の質が低下する一方である、というのが本書の問題意識だ。

そこで快眠コーチとして、これまで約6万5000人の睡眠改善をサポートしてきた角谷リョウ氏が、快眠につながる様々な工夫を伝授する。大勢の50代が試して「実際に効果があった」という睡眠改善法を、ランキング形式で紹介している。

照明やマットレスの改善

睡眠の改善に一番効果があったものが、「光環境の改善」だ。著者いわく、日本の照明は欧米に比べても照度が高く、睡眠を促すホルモン「メラトニン」を低減させてしまう。白色系の蛍光灯もメラトニン分泌を低下させる。そのため、照明の工夫が快眠への第一歩だ。具体的には、「天井照明の明るさを寝る1時間前に少し落とす」「間接照明を利用する」「蛍光灯を白色系から暖色系に換える」ことが推奨されている。

さらに、マットレスを換えるのも有効だという。年齢が上がると身体の柔軟性が失われ、触れる部分の影響を受けやすくなる。だからマットレスや敷布団を見直すことが大切なのだが、ポイントは「柔らかく」「暖かく」「厚く」すること。とはいえ超高級マットレスを購入しなくてもよい。上記のポイントを押さえ、使っている布団の下に段ボールや「すのこ」を敷くだけでも効果は期待できるという。

「本気コース」と称して、もう少しお金のかかる本格的な方法も紹介している。「厚さ10センチ以上のマットレスの購入」などがあり、私も実際に少し値の張るマットレスを購入してみた。朝起きた時のスッキリ感が段違いで、その効果に驚いているところだ。

刺激を増やす

興味深いのは、50代になると「睡眠圧」が低下するという指摘だ。聞き慣れない言葉だが、睡眠圧とは「寝るための圧力」。長時間起きたり、活動したりすることで脳や肉体に負荷がかかり、回復のための深い睡眠を引き起こすことを指す。

歳を重ねると行動が最適化され、活動パターンの変化が少なくなる。ストレスや失敗が減る一方、脳や体への刺激が失われる。つまり、脳や体に負荷がかかっていないため、睡眠時間や深い睡眠を必要としなくなるのだ。50代の睡眠不調の一因は慣れ親しんだ生活習慣や「自分の型」にある、というわけだ。

であれば、やるべきことも見えてくる。何か新しいことを始めるのだ。著者はYouTube学習などを勧めているが、「やろうと思ってまだ始めていないこと」は他にもたくさんあるだろう。本書は睡眠改善の具体策であると同時に、中高年が刺激的な日々を送るガイドとしても役に立ちそうだ。

今回の評者 = 高野 裕一
情報工場エディター。医療機器メーカーで長期戦略立案に携わる傍ら、11万人超のビジネスパーソンをユーザーに持つ書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」のエディターとしても活動。長野県出身。

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