ひらめきブックレビュー

チャットGPT使いこなす「良い質問」 豊富な例を紹介 『ChatGPTの衝撃 AIが教えるAIの使い方』

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近年華々しく登場した対話型人工知能(AI)の「Chat(チャット)GPT」は、自然な会話形式で高い精度の情報を提供してくれる。この新たなツールが世界中で議論を巻き起こしている。例えば、学生がリポート作成にチャットGPTを使うことについての是非だ。

本書『ChatGPTの衝撃 AIが教えるAIの使い方』は、そんな話題のチャットGPTの活用術を説く。チャットGPTの概念と始め方、注意点を解説した上で、ビジネスや日常生活のシーンごとに具体的なプロンプト(チャットGPTに入力する質問などの文章)の例を豊富に紹介している。

著者の矢内東紀氏はチャットGPTを活用したブレインウェーブコンサルティングおよびプロンプトテックスターズの創業者で社長。本書はチャットGPTを使って執筆した。

形式を決めるのも有効

チャットGPTは学習した情報の平均値的な情報を出力する。このため「ビジネスで成功する方法を教えて」といった抽象的な質問に対しては、一般的には正しいが意外性のない回答しか返してくれないという。

良い質問の条件はいくつかあるが、「質問が明確で具体的である」「質問の背景や文脈を提供する」「回答の文字数や形式に制約を設ける」ことが大事だと著者は述べる。例えば、「スタートアップ企業が成功するための、3つのポイントと具体的なアクションを説明して」といった質問だ。

この基本を押さえれば利用シーンは広がる。「ブログの記事を1000文字以内で書いてください」とすればブログ風の文章になる。「恋愛小説の冒頭」をオーダーしてもいい。質問にジャーゴン(特定のコミュニティで通じる言葉)を使えば、より専門的な回答が得られる。一方で、あえて制約を設けない質問をし、クリエーティブな回答を引き出すという面白い使い方も紹介されている。

歴史の「if」に答える

コンサルティング業界で働く私から見ても、チャットGPTの回答は情報が構造的に整理されていて有用だ。強み、弱み、機会、脅威の視点で考える「SWOT分析」などはまだ浅い印象だが、数多くの視点を提案してくれるので思考の助けになる。やるべき作業を網羅して挙げてくれるタスク管理も重宝しそうだ。

「もし明治維新が起きていなかったら日本はどうなっていたか」といった歴史上の「if」への返答は刺激的だ。政治・経済・文化と幅広く目配りした気の利いたコメントを読むと、感心するどころか嫉妬すら覚えるレベルである。こうした刺激はリポートを書く学生にも良い影響を与えるのではないか。

一方、現在のチャットGPTには限界があるのも事実だ。特定の時期までのインターネット上のテキストデータしか学習していないため、回答には偏りがあると著者は指摘する。倫理的に誤った内容を答える可能性も残る。だが、課題はいずれ解消されていくだろう。インターネットが登場したときと同じように、AIを使いこなすスキルは生きていくための必須の教養に加わるはずだ。

良い質問には良い回答、イマイチな質問にはイマイチな回答が返ってくる、というのは人間同士のコミュニケーションにも当てはまる。本書を手引きとし、チャットGPTをぜひ使いこなしてほしい。

今回の評者 = 戎橋 昌之
情報工場エディター。元官僚で、現在は官公庁向けコンサルタントとして働く傍ら、11万人超のビジネスパーソンをユーザーに持つ書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」のエディターとしても活動。大阪府出身。

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