ひらめきブックレビュー

生き残れるコンサルタント 思考の基本となる「型」とは 『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』

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コンサルティング会社が就活生の間で人気らしい。早いうちに実践的なビジネススキルが身に付き、幅広い成長機会が得られるためだという。

本書『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』を読めばそれも納得する。コンサルティング会社での経験は、どんな業界にも通用するスキルと体力とを培うと分かるからだ。

本書は大手外資コンサルティング会社で12年間働いた著者が、会社人生で体得した「コンサルタントに必要なスキルと心得」をマニュアル化した書籍だ。アナリスト、ジュニアコンサルタント、シニアコンサルタント、マネージャーといった職位ごとに、議事録の書き方から部下への仕事の切り出し方まで、具体的な仕事の手法を説明する。元々、部下のために創作プラットフォームnote(ノート)に書いた文書を大幅に加筆修正して単行本化した。

著者は現在、医療業界全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を目指すスタートアップ企業でDXコンサルタントとして働く。ツイッターやnoteでも多くのファンを獲得している。

コンサルティングの核心は「速度」

コンサルティングの核心は「速度」だと著者は言う。コンサルタントは常にスピードのプレッシャーにさらされるが、その中で非効率な仕事を省き、精度を高めるスキルが研ぎ澄まされていくようだ。

他業界でも役に立つコンサルタントのスキルは、例えば「論点思考」と「仮説思考」だろう。著者いわく、コンサルティングにおける思考の基本の「型」だ。

論点思考は「今考えるべき問題」を切り出すこと。例えば「人事について相談したい」と言われたら採用計画なのか、社員の評価設計なのか、ロイヤルティー維持の問題なのか、無数にある切り口を整理し、焦点を絞ることだ。本質的な価値を持たない「ブルシット・ジョブ(やらなくてもいい仕事)」をかぎ分けることにもつながる。

「仮説思考」は「この辺りが正解なのではないか」と予測して仕事をすることだ。情報を逆引き的に収集し、短い時間で高い精度の答えを得られる。では仮説はどう立てるか。著者は「5分間で思いつく限りの仮説を書き出す」「本で検証する」「社内の有識者に仮説をぶつけてみる」など、経験から編み出した方法を伝授してくれる。

仮説思考は上司への質問にも有効だ。仮説を持ってから質問すれば、より有意義な議論が引き出せるという。コンサルタントは、仕事の細部まで「速さと質」の意識を忘れない。

早朝からスポーツジム

過酷な環境でのエピソードも面白い。ある時、著者は威圧的にふるまうクライアントを担当することになった。同僚が精神的に参って脱落していく中、深夜残業後に朝からスポーツジムに通い、精神だけでなく肉体を鍛錬。最後までプロジェクトに関わり続けた。

努力家である一方、著者はよく挫折する。しかし、その度に他者からフィードバックを受け、自分を変えるため猛烈な勉強を積み重ねている。それはまさに「修行」だ。本書は、コンサルティングとは無縁であっても、成長を続けたいビジネスパーソンに力を与えてくれるだろう。

今回の評者 = 安藤 奈々
情報工場エディター。11万人超のビジネスパーソンに良質な「ひらめき」を提供する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」編集部のエディター。

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