ひらめきブックレビュー

老活のイロハ 介護費は親のお金、「30平米」で生活 『親の終活 夫婦の老活』

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「人生100年時代」となり、人生の後半戦に向けた「備え」が重要視されるようになってきた。公的年金だけでは老後の生活がままならないといった問題も騒がれたが、資産形成に関してだけでなく、親のみとりや相続、伴侶との別れや不動産の処分など、老後にはたくさんの手続きが待っている。

本書『親の終活 夫婦の老活』は、親や自分の老後に向き合う時に、何をどう準備すればいいのか、そのノウハウを説く1冊。お金や住まい、暮らし方といった観点で、法制度などの基本知識や、支出の見直し方など具体的な行動についてレクチャーする。

著者の井戸美枝氏は、社会保険労務士で年金・社会保障問題の専門家だ。

相続対策として家系図を

親と終活の話をする機会はほとんどないのが一般的だろう。私も、先日父が他界したばかりだが、それまで人生の終わりや相続の話はしたことがなかった。しかし、踏み込まないでいると親の体調変化に気づかず、十分なみとりができないなど後悔するはめになると著者はいう。そこで、ゆっくりと親を「取材」しながら、親の最期や相続に備える方法を提案する。

例えば、「旅行に行きたいところ」「やってみたいこと」を尋ねる。そこから体調面の話題になれば、持病やかかりつけのクリニックの情報を把握できるだろう。いざ親が入院した時にすぐに持ち出せるよう健康保険証や診察券、お薬手帳のありかも知っておきたい。

また、両親のライフヒストリーを聞き、家系図をつくっておくことも相続対策によいそうだ。親に離婚や再婚歴があると、相続の上でトラブルになりやすいが、家系図で確認すれば相続人がわかりやすい。そうでなくとも、親の人生のエピソードを聞いておくことは、貴重で楽しい思い出となるだろう。

介護の問題もある。月額の平均介護費用は、在宅で4万8000円、老人ホームなどの施設で12万2000円だという。期間は平均5年1カ月、総費用は平均580万円だ。自分たちの老後資産を目減りさせないよう、これは親のお金から支払うことが基本である。親が健在なうちに、親の年金収入と介護費用のバランスを検討しておくのが良策だ。

生活をダウンサイズする

親を見送ったら、自分たちの番だ。子どもの独立後は、おひとりさまになることも見越して「30平米」での生活に慣れようと著者は呼びかける。生活のダウンサイジングだ。子どもの賞状や着ない衣類などの不用品を捨て、無駄な買い物をしない。身の回りの整理は資産寿命(これまでに形成した資産が尽きるまでの期間)を延ばす。

終の住処探しはビッグイベントだ。自宅のリフォーム、賃貸マンション、サービス付高齢者向け住宅など複数の選択肢があるが、いずれも数百万から一千万円程度のお金が必要になる。交通の利便性など、選ぶときのチェックポイントも本書に載っているので参照されたい。

介護や別れはある日突然やってくる。心身ともに負担がかかるが、少しでもスムーズに乗り越えるための終活、老活だ。本書で「その時」に備えてほしい。

今回の評者 = 高野 裕一
情報工場エディター。医療機器メーカーで長期戦略立案に携わる傍ら、11万人超のビジネスパーソンをユーザーに持つ書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」のエディターとしても活動。長野県出身。

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