ひらめきブックレビュー

それでも未来に「希望」あり 動物行動学者が示す根拠 『希望の教室(THE BOOK OF HOPE)』

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■人間は進化の途上にある

ロシアによるウクライナ侵攻のニュースを見て、「人間は戦争をやめられない」と悲観的になる人もいるだろう。私自身がそうだった。それでも、グドール氏の次の言葉に触れ、確かに希望を感じた。彼女は「種としての人間は道徳的な進化の途上にある」と語るのだ。

グドール氏自身、第2次世界大戦時のホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)や2001年の米同時テロを目の当たりにしている。それでも希望を失わないのは、多くの動物や植物と同じように人間も進化を続け、数百万年かけて「思いやり」や「共感」を発達させてきたと知っているからだ。そしてこれからも、私たちは進化を続けていく。

最後にグドール氏は、「いっしょにやろう!」と行動を呼びかける。その行動が希望になる。暗いニュースや息苦しい毎日に疲れを感じる方に、ぜひ一読をお薦めしたい。

今回の評者 = 前田 真織
2020年から情報工場エディター。2008年以降、編集プロダクションにて書籍・雑誌・ウェブ媒体の文字コンテンツの企画・取材・執筆・編集に携わる。島根県浜田市出身。

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