日経Well-beingシンポジウム

市民目線で幸福感を追求 人が交流つながる世界に 第4回 日経Well-beingシンポジウム㊦

ウェルビーイング 講演 パネル討論

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【討論 未来世代】

実践女子大学人間社会学部3年生/実践ウェルビーイングプロジェクト研究会メンバー 齋藤 由佳さん
らしの交通代表取締役 田島 颯さん
N高等学校 3年生/Well-beingアクション実行委員会メンバー 板垣 弘修さん
N高等学校 2年生/Well-beingアクション実行委員会メンバー 高橋 里菜子さん
【モデレーター】タレント/東京工業大学非常勤講師 パトリック・ハーラン氏

福は自分でつかむ

ハーラン 若い世代にとってウェルビーイングとは。 

齋藤 友人との会話や勉強など、日常に散らばる小さな幸せがウェルビーイングにつながっていると思う。 

田島 SNS(交流サイト)によって自己表現がしやすくなり、必要のない他者との比較が生まれる中で焦燥しやすくなっている。同時にどうしたら自分が幸せになれるかにも敏感になっている。 

ハーラン 世界幸福度ランキングで日本は54位だが、この事実をどう捉えているか。 

高橋 大人たちの焦燥感や逼迫感を高校生も肌で感じていて、漠然とした不安がある。「一緒に頑張ろう!」と引っ張る人が増えれば変わるのでは。 

板垣 マイナスの圧力に負けないためには、結果を出すことが一番。勉強時間を周囲に可視化できるプラットフォームを使って、お互いに高め合ったりしている。 

田島 自分の幸せを考えることが当たり前になった一方で、組織や制度によって幸せな方向に進めないというギャップがある。もっと自ら環境を変えやすい社会になって、それを許容する人が増えてほしい。 

ハーラン 幸福をつかむ秘訣はあるか。 

高橋 ひとりでこもらずに、人とつながること。人を楽しませたい、喜ばせたいという気持ちで幸せを共有すれば、お互いが幸せになれると思う。 

板垣 思いきって環境を変えるのも将来的にはプラスになる。また、なんでもいいので趣味を見つけると希望が持てる。 

田島 東京・香川・沖縄の3拠点で生活していたが、拠点を複数持つことでいろいろな自分に出会えたし、精神が安定した。 

齋藤 居心地の良い場所やどんなときが楽しいかを自分自身に問いかけて、認知してあげることが幸福の第一歩になるのでは。 

ハーラン 大人たちへメッセージを。 

高橋 将来は自分の仕事に誇りを持っている人と働きたいので、誇りと熱量を持った組織づくりをしてほしい。 

齋藤 もっと人に頼って人とのつながりを大事にして、ウェルビーイングの連鎖が広がる社会になったらうれしい。 

板垣 若者にお金を出してほしい。ウェルビーイングとは関係ないかもしれないが、重要なことだと思う。 

田島 幸福とはしてもらうものではなく、自分でなるもの。自分なりの定義を考えた上で、組織として何ができるのかを一緒に考えたい。

 

【企業講演】

三井住友トラスト・ホールディングス執行役専務 三井住友信託銀行取締役専務執行役員 井谷 太氏

信託の力で若者に未来

2020年に「信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる」というパーパスを明確化し、会社と社員の価値共有に向けた取り組みを強化。パーパスへの思いを全社員に語る「社長キャラバン」や、経営戦略浸透や現場課題の共有に向けた「マネジメント層との対話セッション」など、経営と社員の対話機会を拡充。 社員のウェルビーイングを基軸とした人事戦略を推進中だが、社員の声に耳を傾けると、人事制度・運営の高度化やITインフラ改善、DX化等を求める声が多いことを痛感。社員の実力発揮に向けて、ハード・ソフト両面の環境整備を進めたい。

特徴的な施策として、全常務執行役員が1年間かけて女性社員のキャリア形成を支援する役員サポーター制度や、高度な専門性を発揮する社員をフェロー認定する処遇運営等を実施中。22年は全社員向け株式報酬を導入し、持ち株会奨励金を20%に引き上げた。会社と社員が同じ方向を向き、双方の中長期的成長につなげることを期待している。 

重要性が増すファイナンシャル・ウェルビーイングに関しては、社会的共通資本の一員である社員の資産形成支援を強化した。年金・職域業務で培った投資教育ノウハウを社員に展開することで金融リテラシーを向上させ、お客さまや社会への貢献につなげるのが狙い。教育後は、持ち株会の年間拠出額が2.5倍に増加。特に、若者世代の増加率が顕著であり、未来に向けた行動変化が数字に表れている。 

22年から高等学校で金融の授業が必須となったが、資産のミライ研究所では、学生向けセミナーや出張授業を展開中。今年は信託法・信託業法施行100年、24年には会社設立100周年を迎える中、信託の力で、若者世代の豊かな未来の実現をサポートしていきたい。

 

【総括】

公益財団法人Well-being for Planet Earth代表理事 石川 善樹氏

国際貢献につなぐ万博

経済学者のシュンペーターによれば成長と発展は違い、成長は量的拡大、発展は質的変化を表す。20世紀は経済成長の時代で、格差拡大、環境破壊、人権侵害など負の側面も目立った。その負の側面を埋めようと誕生したのが持続的発展で、1987年に国連で提唱され、基本的ニーズを満たしながら将来世代に負の遺産を残さない持続的発展が定義されSDGsに結実した。 

2030年に終わりを迎えるSDGsだが、その次に来る目標として、負の遺産を残さないだけでなく、ウェルビーイングという正の遺産もつないでいこうというコンセンサスが国際社会でつくられつつある。つまりSDGsはサステナブル・ウェルビーイング・ゴールズへと進化する。SDGsのD(開発)はどうしても経済と強く結びつくが、平和は非常に重要で、文化社会的な側面も今後より重要になっている。そのような観点から、経済だけでなく、政治、社会、文化の要素も加えるべきとのウェルビーイングの議論が起きている。 

特にウクライナなど戦争が終わる地域では復興が始まるが、極めて重要な指標が子供たちの復興だ。SDGsは分野間、項目間の優先順位が不明だが、ここにウェルビーイングの視点を入れると優先順位もつけやすくなる。日本では25年に大阪・関西万博が開かれる。SDGs+beyondと、SDGsの達成とポストSDGsがコンセプトだ。国際社会でウェルビーイングという大きな流れがつくられている時代、日本はソフトパワーで国際貢献できるのではないか。

Well-being InitiativeはWell-beingという概念を2030 年以降のポスト SDGs(持続可能な開発目標)におけるグローバル・アジェンダに位置付けることを目指す企業コンソーシアムです。企業の長期的な価値創造・価値評価においてWell-being が果たす役割の具体化や日本初の主観的Well-beingの国際標準づくりを推進。多角的にWell-beingに関する情報を発信・啓発し、世の中での認知度を高め、社会的なうねりを創出していきます。
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