いろいろな企業で営業のデジタル活用に取り組んできて有効だと考えているのが、「デザイン思考」「プログラミング的思考」「データサイエンス的思考」「OODA(ウーダ)ループ的思考」の4つの思考術です。これらについて具体的に解説します。
営業におけるデザイン思考とは
「デザイン思考」は文学や芸術、科学、ビジネスとさまざまな分野で活用されている考え方です。米アップルやグーグル、ゼネラル・エレクトリック(GE)など世界的な企業でも採用されており、「もっとイノベーションにつながる製品開発がしたい!」と考える多くの日本企業でも取り入れられています。
そのデザイン思考とは、「ユーザーを中心に事象を深く観察し、定義した問題に対する新しいアイデアを創出、プロトタイピングを重ねながら実現させる考え方」のことで、次の5段階でモデル化されています。
(1)観察/共感
インタビューやアンケート、現場観察などを通じ、ユーザーの行動を理解/共感できるまで考える。
(2)問題定義
ユーザー視点で潜在的な課題やニーズを抽出。そこから目指すべき方向性・コンセプトを確立させる。
(3)アイデア創出
設定された方向性を実現するためにアイデアを出す。「質」よりも「量」を意識してブレーンストーミングを行う。
(4)プロトタイピング
アイデアのうち、絞り込んだものをいくつか試作する。低コストで早く作り、いろいろな可能性を試せるようにする。
(5)検証
プロトタイプのユーザーテストを行う。ユーザーの声を聞くことで、(2)で定義した問題が解決できているかを検証する。(4)と(5)を繰り返し、ブラッシュアップを行う。
この思考術で特に意識していただきたいポイントは2つ。1つ目は徹底的に観察するということです。もう1つは、プロトタイピングです。最近は(クラウド経由でソフトを提供する)SaaSで簡単に始められますから、プロトタイピングがとてもやりやすくなりました。
課題について悩む顧客との面談においても、「デザイン思考で一緒に考えましょう」と提案していけば、顧客の購買活動の推進を支援する強力な武器となります。