NIKKEI BtoBマーケティングアワード

BtoB マーケティングの効果、経営層の理解深まる NIKKEI BtoB マーケティングアワード 受賞企業に聞く

マーケティング 営業 パネル討論

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日本経済新聞社がBtoB(法人向け)マーケティングの優れた取り組みを表彰する「NIKKEI BtoBマーケティングアワード」受賞企業の関係者によるパネル討論会が10月19日、コムエクスポジアム・ジャパンが主催するビジネスカンファレンス「BtoB Marketers' Summit」内で開かれた。2020~21年に受賞した3社(ブラザー販売、パーソルホールディングス、NEC)の担当者がそれぞれの取り組みを説明し、直面した苦労や受賞の影響について話し合った。各担当者からは受賞後に社内のBtoBマーケティングに対する理解が深まるなどの効果があったとの声が相次いだ。(文中敬称略)

【登壇者】
ブラザー販売 営業本部 ビジネスソリューション推進部 部長 城尾明憲氏
パーソルホールディングス マーケティング・エキスパート 繁田佳典氏
NEC IMC統括部 マーケティング マネージャー 中島拓也氏
【司会】 
クー・マーケティング・カンパニー 代表取締役 音部大輔氏 (アワード審査員)

■「三者三様」の取り組みに高い評価

音部 NIKKEI BtoBマーケティングアワードを受賞した取り組みは。

城尾 (ブラザーは)ミシンで創業したが、現在は事業の6割がプリンティングで、オフィス向けを中心に代理店営業を展開している。自分の部署がBtoBマーケティングを担当していたが、(当初は)業界ごとの顧客ニーズがわからず、顧客の利用シーンや「困りごと」に接する必要があった。そこで困りごとを解決するウェブサイト「ビジネスNAVI」を急ピッチで立ち上げた。(潜在顧客に)リーチしたら営業に送る仕組みでリード(見込み客)の獲得率が15%くらい上がったが、新型コロナウイルス禍で営業担当者が顧客を訪問できなくなった。そこでオンラインのイベントやウェビナーを開催して様々なコンテンツを展開した。コロナ禍でのデジタル化がうまくいった。

繁田 (パーソルは)人と組織にまつわる業務を手掛けており、国内に子会社が数十社ある。法人マーケティングのミッションとして、「はたらいて、笑おう。」を享受する企業・個人の最大化を掲げている。持ち株会社を起点とするBtoBマーケティング活動では、パーソルグループ全体で顧客資産を生かし切っていない危機感があった。それは例えば、(人材派遣の)「テンプスタッフ」の顧客に(転職サービスの)「doda(デューダ)」を売るようなイメージだ。2つ目はグループ会社へのBtoBマーケティング支援だ。パーソル全体でみるとデータの宝庫だが、どの会社にどんなデータがあるか分からなかった。これらを分析した結果、全体の生産性が上がって売り上げが大幅に伸びた。

中島 (NECは)自治体のほか幅広い業界の企業にアプローチしている。もともとデジタル人材を育成する教育メニューを構築していた。コロナ禍で対面営業ができなくなったことから、メニューを展開してデジタル手法を導入した。しかし、現場ではなかなかうまくいかなかった。そこでマーケティング部門と営業部門が連携し、デジタルマーケティングとインサイドセールスを組み込んだ営業プロセス変革に取り組んだ。(潜在顧客との)タッチポイントを増やすため、営業が活用しやすい数万人規模のオンラインイベントを開催するなど、20年から改善サイクルを回しながら変革に取り組んでいる。現在はこれまで構築したマーケティング部門のデータと営業部門のSFA(営業支援システム)データをつなげるため、CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)を構築してデータ活用のモデル化を進めている。

音部 受賞各社のやりかたは「三者三様」だ。ブラザー販売が受賞した20年はコロナ禍が始まって間もない頃で、アジャイル(機敏)な対応が評価された。パーソルは複雑な構造の会社でデータの統合を進めた。データを統合するメリットをうまく説明するアプローチが高く評価された。NECは営業部隊の人材育成に労力をかけたことが高く評価された。

 

社内の縄張り争いに直面も

音部 プロジェクトを遂行する上でどのような困難があったのか。

城尾 経営層の理解を得るのがたいへんだった。(改革には)相応のお金がかかるので、経営層は(効果に関する)「数字」がほしい。営業サイドの理解を得ることも重要だった。これら2つの困難を克服する上で、担当の女性マネジャーは先行きが見えない中で(ビジョンを)言い切る勇気があった。(改革を)小さく始めて成功例を増やし、(経営層や営業部門に)インプットしていった。

繁田 3つの困難に直面した。1つ目は(部門間の)縄張り争い。「なぜ我々が足で稼いだデータを渡さないといけないのか」というグループ内(の反発)を解きほぐさないといけなかった。2つ目は受注率が上がらなかったこと。現場のセールス担当者に当初はピントが外れた「トス」を上げていた。3つ目はROI(投資収益率)を問われ続けたことだ。最終的には結果がついてきたが、1年間以上も我慢を強いられた。

中島 まず営業部門の信頼を獲得するのがたいへんだった。マーケティング部門と営業の壁をどう取り除くか。(マーケティング部門が)顧客のことを調べ、仮説を立てることで信頼を得た。従来は紙のアンケートだったが、デジタルだと顧客の行動データまでわかる。利点を説明して少しずつ前に進んだ。経営層からは売り上げについて聞かれたが、今後のビジネスとして成り立つことを説明して納得してもらった。

審査員が厳しく評価 「絶対変えてやる」と受賞

音部 受賞したことで周囲からの反応や変化は。

繁田 21年に大賞をいただいたが、20年は落ちた。審査員から厳しく評価され、「絶対に変えてやる」と思った。受賞によって社内のデータを集めやすくなった。グループ各社からは「頑張っているね」「すごいね」と言われた。結果を出したことで予算(規模)が大きくなり、活動領域が広がった。採用面でも(他社と)差異化できる。当社への応募者に聞くと、アワード受賞について知っていた人が多かった。

中島 自分たちの取り組みの立ち位置が社内にいるだけだとわからないが、(アワードの)ファイナリストの皆さんと情報交換できた。(受賞で)営業現場の納得感は一気に高まった。社外に向けて取材などで話す機会も増えた。取引先を訪問して取り組みを説明すると、付随するビジネスが生まれたこともある。データを活用してマーケティングを変えていくメッセージは伝わりやすく、中途採用の際に活用している。応募を通じて自分たちの活動をまとめると自信が付くし、外部にも説明しやすくなる。

城尾 経営層の(取り組みへの)理解が得られたのが大きい。外部に認められることで社員のモチベーションアップにつながり、社内の調整が楽になった。(マーケティング部門が)汗をかいて(頑張って)いると思ってもらえた。会社の中長期計画はチャンスだ。営業部門と一緒に(目標に)向かっていけるからだ。アワードにも応募すれば、良い感じでBtoBマーケティングが進むだろう。

音部 アワードに応募するだけでなく、自分たちの活動を振り返り、まとめる行為をすることで、プロジェクトを通じて何を学んだかが明確になる。こうした理解を深めていくチームの方が、持続的に成長していけるだろう。

「NIKKEI BtoBマーケティングアワード」
日本経済新聞社が2020年より開催している、BtoBマーケティングに優れた取り組みを表彰する事業。ブランディング、デマンドジェネレーション(需要創造)、ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)など、BtoB企業のマーケティング活動全般に対して、創造性や新規性、経営へのインパクトなどを基準に審査し表彰します。アワードへの応募はこちらから

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