フィンテックアプリやウエブサービスのプロダクト分析ツール「Mixpanel」は、顧客体験の飛躍的な向上につながるとの世界的な評価を得ている。世界中で2万6000社を超す企業が導入し、大手金融機関やネット決済事業者など金融分野での導入も盛んだ。Mixpanelの日本総代理店であるNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(東京・品川)の谷田部丈夫氏がFIN/SUM2022で講演した内容を紹介する。
フィンテックアプリやウエブサービスを改善するためには「プロダクトアナリティクス」が必要ですが、その重要性は国内ではそれほど浸透していません。
顧客獲得のための「マーケティングアナリティクス」は日本でもよく理解され、実行されています。一方で、利用者の獲得後に試用を経て、オンボーディング(サービスに新たに加入した人を支援し定着を促す施策)でサービスの良さや扱い方に慣れたパワーユーザーとなってもらえるよう、様々なデータを分析して必要な策を講じるのが「プロダクトアナリティクス」です。登録後の行動をデータ分析に基づいて最適化する段階とも言い換えられるでしょう。
代名詞的ツールとして全世界で利用
プロダクトアナリティクスのパイオニアであり、代名詞的なツールとして全世界で利用されているのがMixpanelです。離脱を防ぎ有料顧客を獲得する「コンバージョン」、サービスの良さを理解して使ってもらう「エンゲージメント」、パワーユーザーを育成する「リテンション」と大きく3つの機能があります。
すでに導入している459社のアンケート結果を平均すると、コンバージョン率は(導入前に比べて)31%上昇し、カスタマーエンゲージメント率は32%、リテンション率は30%それぞれ上昇する成果が得られることが分かりました。
コンバージョン、エンゲージメント、リテンションのそれぞれについて、どのようなデータが可視化・分析できるかをもう少し詳しく見ていきましょう。
コンバージョンに関しては、コンバージョン率の高いユーザーセグメントはもちろん、途中離脱率の高いユーザーセグメントも把握できます。コンバージョン率が急激に変化した際などに原因を明らかにすることなども可能です。
エンゲージメントについては、アクティブユーザーを定義して測定できます。新規ユーザー、リピーター、休眠ユーザーをそれぞれ追跡することで、セグメント別に最適なユーザーフローを分析することなども可能です。
リテンションに関しては、現状のパワーユーザーの属性などを理解し、そこに至るまでのカスタマージャーニーを分析することで、どの場面でリテンションが促進されているのかを特定できます。また、休眠ユーザーになった原因を把握・分析することで最適な掘り起こし施策も見えてきます。
ここで紹介したものは代表的な機能であり、ニーズに応じて様々なデータ分析ができます。総じてMixpanelは、サービスが成功・失敗しているポイントを常時、明確に洗い出し、それに基づく効果的な改善策の立案をデータの力で強力に支援するツールと考えていただければよいかと思います。