ヘルステックサミット2022

ライフログを活用したサービスの提供と行動変容の未来 RIZAP執行役員 幕田純氏の講演から

データ活用 ヘルステック 講演

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「結果にコミット」するパーソナルトレーニングジムとして知られるRIZAP。体重から食事、睡眠まで顧客が提供する様々なライフログデータを基に、ダイエットやボディーメイクに向けたトレーニングの提案と実行の支援をしてきた。一方で、近年は健康状態の改善を目的とした利用者も増えているという。そこで、データを提供したくなる環境の整備や、中長期的な視点で生活習慣を改善する取り組みも始めている。新業態のコンビニジム「chocoZAP」をはじめとする、ヘルステックを活用した新たな挑戦について、同社執行役員の幕田純氏が「ヘルステックサミット2022」で語った。

デバイス配布でデータ提供の負担軽減を目指す

ヘルスケア成長に関する我々の戦略方向性は、人の力とテクノロジーの寄り添いによって行動変容を促し、一人ひとりの自己実現をかなえることだ。ダイエットやボディーメイクの印象が強いRIZAPが、なぜヘルスケア領域で貢献できる可能性があると考えるのか。例えば、生活習慣病の根本をたどっていくと、その手前には肥満があり、さらには生活習慣がある。その根本にアプローチできると考えている。

ヘルステックの領域で意識しているのは、データを提供したくなる環境の整備だ。体重や食事、睡眠といった多くのデータの入力は、顧客に手間をかけているとの認識があった。デジタルテクノロジーでその労力を減らしつつ、データ量は豊富であることが非常に重要だ。

新業態のchocoZAPでは、全会員に体組成計とウエアラブル端末を配布しており、今後は体重計に乗るとアプリに自動でデータが入るようにする予定だ。毎日体重を計ることは、苦ではないと捉えている顧客が多く、体重測定は顧客の行動変容を促す上で、大きな効果をもたらしている。これが体組成計を配布した理由だ。

chocoZAPは無人ジムだが、我々が培ってきたノウハウをアプリの中で自動化し、提案する。RIZAPのハイパフォーマーがやってきたレコメンドを、今後はアプリの中でやっていく。

新たなサービスとして「メディカルマイレポート」がある。体重の変化や睡眠の状態、来館状況、血液検査の結果といった1カ月分のデータに、専門家のコメントを記載して提供する。月に1回、これを見ることで、「このままではまずい」、あるいは「自分は頑張った」など行動変容の動機付けになる。

「1日5分の健康習慣」を掲げるchocoZAP は、コンビニジムとして日経トレンディの2023年ヒット予測の第1位になった。日本のフィットネスの会員比率は約3.5%にすぎない。chocoZAPを残りの約96%の人に届けたい。そのために、心理的・物理的・経済的障壁をどう取り除くかを考慮した。例えば、ジムへの移動、着替え、靴の履き替えなど手間が多い。ジムはトレーニングをしっかりしたい人が行く所で、初心者にはハードルが高いという心理的障壁もある。そこで、着替え不要、靴の履き替えも不要、私服でOK、スーツでOKとした。実際スーツでの利用者も増えており、まさしく私たちが描いていたフィットネスの新たな利用方法だ。まずは第一歩を踏み出していただくことが重要。5分でも続ければ効果は絶対にある。実際、体重に関するデータで、3カ月間で効果が出ている人もいる。

中長期的視点で生活習慣を改善

もう一つの事例として、生涯に寄り添うサービスを進めていかなければいけないと思っている。これまでの短期集中ダイエットの価値は変えずに維持しつつ、これからは中長期的な目線で生活習慣を変え、しっかりと定着させていく必要があると思う。

料金体系も行動変容につながると考え、新たに生み出した「プライムサービス」。登録料は少々高額だが、トレーニング費用が約半額で、中長期的にはかなりお得だ。結果的に、半年間の継続率は通常のプログラムの3.4倍に上がった。正しい運動習慣、食生活習慣を中長期的に継続していく価格が、顧客に受け入れられたと思う。健康、ヘルスケア分野に進出し、60歳以上の会員比率が以前の10%未満から20%を占めるまでになった。シニアの主なニーズは健康であり、その実現のために加入する人が多くなっている。

その他、当社は特定保健指導のプログラムを実施している。ボディーメイクで培ったノウハウによって、2キロ2センチ減という基準を大きく上回る効果を出すことができた。これをさらに発展させた、新たな成果保証型の特定保健指導プログラムをリリースする予定だ。RIZAPの全額返金保証制度と同様に、一定の成果が出なかった場合には、一定の補償、返金をしたい。

地方自治体向けにも健康プログラムを提供している。筋力低下などに対応できるよう、独自の体力年齢の測定式を大学と共同で開発した。体重のように変化指標として追い、自治体で取り組んだプログラムでは体力年齢がどれくらい改善するのかなど(の情報)を提供した。通常は対面プログラムだが、コロナ禍でオンラインのプログラムを開発した。三重県との取り組みでは、オンラインでも結果を残せた。介護費や医療費の課題を抱えている自治体に対し、RIZAPの健康セミナーの提供やchocoZAPを絡めた連携も強化していきたい。

データの活用に磨きをかけ、レコメンドの質をさらに上げるべく、RIZAPテクノロジーズというDX推進戦略の子会社を新たに設立した。最先端技術を活用しながら、これまでに培ってきた人の寄り添いによる行動変容を進めていきたい。我々の一番の強みは、顧客の行動を変容させられること。chocoZAPなどを通じた新たな生活習慣の提案や改革を進め、この領域でも貢献していきたい。

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