NIKKEI BtoBマーケティングアワード

大賞の旭化成、医療関係者向けサイトの利用者10倍に NIKKEI BtoB マーケティングアワード2022 表彰式から

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日本経済新聞社は2023年3月2日、BtoB(法人向け)マーケティングの優れた取り組みを表彰する「NIKKEI BtoBマーケティングアワード2022」の受賞企業を発表した。大賞は旭化成の「デジタルマーケティングを通じた顧客への価値提供」。新型コロナウイルス禍に対応して医療関係者向けのウェブサイトを改修し、医薬情報担当者(MR)との円滑な関係を構築してサイト利用者を10倍に増やした。審査委員長の内田和成・早稲田大学名誉教授は表彰式で同社の取り組みについて「従来のマーケティングとデジタルマーケティングを組み合わせたことを高く評価した」と述べた。

NIKKEI BtoBマーケティングアワードは日本経済新聞社が20年より開催しており、22年は大賞を含む6つの賞を7社が受賞した。

大賞を受賞した旭化成は医療関係者向けウェブサイト「Pharma DIGITAL」を中心にデジタルマーケティングに取り組んだ。医療関係者に情報を提供するため「繋がる(つながる)」をテーマにサイトを改修した。具体的には、会員となった医師がサイトを訪れると、顔写真付きで担当のMRが表示され、写真の下にあるメーラーがすぐに起動して連絡が取れるようにした。このほか、大学病院の医局や留学体験など医療関係者が関心を持ちそうなテーマの記事を月5本以上掲載。改修前と比較して月間の利用者は10倍に増える一方、サイトから離脱する「直帰率」は6割低下し、閲覧数は倍増した。

デジタル共創本部CXテクノロジー推進センターの石川栄一センター長は受賞式で「コロナ禍の影響でMRのプロモーションが半減した。(改修によって)患者の生命に関わる医療情報を途切れさせることなく提供できるようになった」と語った。

デマンドジェネレーション賞を受賞したヤマハは、超音波検査機「ULTRASONICA」のマーケティングが対象となった。同検査機はレトルト食品の接続部にシワがないかを検査するBtoB製品だ。楽器などBtoC(消費者向け)製品のマーケティングではノウハウのある同社だが、BtoBでの実績は少なかった。顧客になりそうな業種の業界地図を作製し、販売対象を食品メーカーに定めた。BtoC製品で培った「音のヤマハ」のブランドを前面に打ち出す戦略で競合他社との差異化を図り、リード(見込み客)を5倍に増やした。マーケティング統括部CX戦略部CXマーケティンググループ主事の金成典氏は「ブランドを活用したマーケティングにBtoBもBtoCも関係ないと実感した」と述べた。

ブランディング賞を受賞したパナソニックコネクトは、パナソニックグループの持ち株会社制への移行に伴い22年4月に設立されたばかりのBtoBソリューション企業で、企業ブランディングが評価された。パナソニック創業者の精神を受け継ぎながら、現代風にアレンジしたパーパス「現場から社会を動かし未来へつなぐ」とその行動規範を作成した。パーパスを題材にしたCMはYouTubeで2000万回以上再生されるなど大きな反響を呼んだ。マーケティング本部 企画管理部企画管理課兼コーポレートブランディング部ブランディング課の飯干恵利子課長は「ソリューション事業を行っていくうえで名も無い企業だとビジネスにならない。顧客企業とワクワクする未来を共創するという認知を獲得する必要があった」と活動を振り返った。

プロダクトマーケティング賞を受賞したミスミは、AI(人工知能)を搭載した機械部品受注プラットフォームサービス「meviy(メビー)」のBtoBマーケティング活動が対象となった。3次元データを活用することで機械部品の調達にかかる時間を9割削減する「meviy」の特長から「提供するのは部品ではなく時間価値」を基本コンセプトに、自社の既存のECサイトとは別の顧客データベースを構築。ウェブコンテンツマーケティングや製造業向け展示会への出展、データマーケティングを組み合わせて顧客に接触した。ID企業体 IDマーケティング推進室ブランド戦略チーム チーフディレクターの津田奈都葵氏は「優れたプロダクトをマーケティングで成長させることができた。日本発のグローバルナンバーワンになるため、マーケティングの力で大きく飛躍したい」と語った。

顧客ベネフィット創出賞と協賛社特別賞「共創」(コミューン)を同時受賞したのは三井住友カード・三井住友銀行だ。企業向け決済プラットフォーム「stera」をより多くの店舗で使ってもらうため、両社が協働して取り組んだプロジェクトが評価された。中小事業者にsteraの導入が会計時の課題解決につながることを訴えるため、資料請求した顧客企業に対して銀行の支店などが協力することで申込率を2倍以上に増やした。三井住友カードマーケティング本部部長代理の増尾速哉氏は「(両社は)異なるミッションがあり、協働するのは簡単ではなかった。顧客のビジネスを応援したいという思いは同じで、顧客の課題を解決するために共同で取り組めた」と受賞を喜んだ。

協賛社特別賞「マーケティングオートメーション活用」(セールスフォース・ジャパン)を受賞したリンコムは、チェーンストア向けクラウドソリューションシステム「店番長」のマーケティングが対象となった。取締役シニア・バイス・プレジデントの土屋敏彦氏は「クラウドサービス活用、ブランディングによる製品価値向上、顧客のビジネス価値向上の3つのキードライバーが事業の成長を支えた」と述べた。

審査委員からは受賞各社の活動を評価する声が相次いだ。音部大輔・クー・マーケティング・カンパニー代表取締役は「マーケティングでは『市場創造』が重要で、シェアが変化したときには市場が創造されている」と述べ、受賞各社のBtoBマーケティング活動が新たな市場を創造したと評価した。後藤洋・トライベック社長は「(BtoBマーケティングの)仕組みが動くには運営側の愛や思いがいる。(受賞各社から)プロダクト・サービスへの愛を感じた」と述べた。庭山一郎・シンフォニーマーケティング代表取締役は「日本のBtoBマーケティングは欧米から大きく遅れている。本日(の受賞)をきっかけに日本のマーケターは奮起してほしい」とエールを送った。

内田審査委員長は「今年は応募企業のレベルが上がった。日本企業の(BtoBマーケティングの)力は上がってきたと実感している」と総括した。

「NIKKEI BtoBマーケティングアワード」
日本経済新聞社が2020年より開催している、BtoBマーケティングに優れた取り組みを表彰する事業。ブランディング、デマンドジェネレーション(需要創造)、ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)など、BtoB企業のマーケティング活動全般に対して、創造性や新規性、経営へのインパクトなどを基準に審査し表彰します。アワードの詳細はこちら

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