ノースアイランド(東京・千代田)代表取締役の嶋敬介氏は、日本を代表するファイナンシャル・プランナー(FP)の一人だ。資金的な裏付けのあるライフプラン設計の重要性をいち早く指摘してきた嶋氏はスマートフォンアプリなど、ITを活用したファイナンシャル・プランニングサービスの開発・提供にも意欲的だ。同社は顧客向けライフプランサービス「Lifeplanning me」と金融機関向けコンサルティング支援ツール「LIFEPLAN CANVAS」の連携機能の提供を開始。顧客と金融機関の双方向のやり取りを可能にするこれらのソリューションについて、嶋氏がFIN/SUM2022で行った講演の内容を紹介する。
先端技術でFPが身近にいる安心
FP会社である当社は、フィンテックにどのようにかかわっていけるでしょうか。フィンテックは金融と先端技術の掛け合わせによる革新的なサービスやソリューションなどを意味します。ファイナンシャル・プランニングにひも付くライフプラン策定を支援するFP会社もまた、先端技術を通じた革新的なサービス開発に取り組むことで、目の前の課題を解決できる可能性が大きく広がっていきます。
ライフプランには、結婚や子育て、住宅購入など、実に様々なライフイベントが含まれます。人はイベントごとに選択を迫られます。少しでも後悔の少ない選択をするためには、アドバイスしてくれる専門家が必要であり、ファイナンシャル・プランナーはまさにそうしたニーズに応える存在です。
当社は30年を超えるファイナンシャル・プランニング事業の中で、情報や知見を蓄積してきました。一人ひとりの顧客は、専門家の意見を聞いて納得したいニーズを持っています。自分の人生における重大な選択をするにあたり、納得できるだけの目安と根拠を欲しているのです。自分自身が選択したのだという納得感も大切です。顧客は様々な情報を比較検討した上で、納得した情報に基づき、自ら選択し、行動することを望んでいます。ライフイベントを考慮して投資や保険などの金融商品を選択する際にも、なぜ必要か、なぜこの商品を選んだかを自分で考えて納得するプロセスがあると、心理的な障壁もずいぶん下がります。
「知る」「比較検討する」「納得する」というプロセスは、ITなどのテクノロジーの活用で飛躍的に便利になります。当社の理念は「FPが身近にいる安心」です。ライフプランと金融の専門知識を有するFPが身近にいる安心を、その時代にふさわしい形で提供したい。その思いで開発・提供しているのが、顧客向けライフプランサービス「Lifeplanning me」と金融機関向けコンサルティング支援ツール「LIFEPLAN CANVAS」です。