フィンテックサミット2022特集

nCino野村社長、信条は「銀行員が、銀行員のために」 融資業務に特化したDX推進

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事業領域や規模に関わらず、デジタルトランスフォーメーション(DX)による生産性向上が当たり前に求められる時代だ。nCino(エヌシーノ、東京・港)は金融機関の融資業務に特化したプラットフォームを提供してDX化を強力に推進しようとしている。2011年に米国で創業したグループの強みや日本市場で実現しようとしていることなどについて、代表取締役の野村逸紀氏がFIN/SUM2022で行った講演の内容を紹介する。

融資に特化した統合型プラットフォーム

当社は「イノベーション、信頼、スピードを通じて金融サービス業界を変革する」をミッションに掲げ、クラウド型銀行業務の統合プラットフォーム事業をグローバルに展開しています。日本法人の立ち上げは19年。企業としての特徴は金融機関の融資業務に特化したプラットフォームを提供している点にあります。

(クラウド経由でソフトウエアを提供する)SaaSである「nCino」は、法人融資や個人融資、口座開設、ストラクチャードファイナンス(仕組み金融)など、様々な融資業務を統合し、部門横断での一気通貫の対応を可能にします。融資業務のDXを加速させ、収益や生産性の改善、規制への対応や透明性の確保といった業務に関するあらゆる課題解決にも貢献します。

日々刻々と移り変わる社会情勢やテクノロジーの進化などにより、金融機関に求められる機能やサービスも一層複雑なものとなっています。コロナ禍を受けて、わが国の中小企業向け融資の申込件数や金額が伸び、金融機関にはこれまで以上の業務の効率性や正確性が求められています。特に大手銀行は最近、新たな金融手法であるストラクチャードファイナンスへの対応が求められています。取扱金額の規模も大きくなりやすいストラクチャードファイナンスにおいて、いかに効率的な契約管理を実現し、高い専門性を担保するか頭を悩ませている金融機関も多いでしょう。こうした、正確さとスピード、金融機関としての高い知見が求められる今日的課題の解決においてもnCinoは価値を発揮します。

融資業務を知り尽くすからこそ実現可能

nCinoグループ本社は米国のノースカロライナ州にあります。前身は銀行でした。行内向けに開発した融資支援システムで生産性と収益性の改善に成功したことをきっかけに、システムを他の金融機関にも提供したいという思いから創業しました。当社が大事にする価値観は「銀行員が、銀行員のために」。金融機関を前身とするからこその高い専門性と、融資業務にまつわる困りごとを行員の目線で理解し、ソリューション開発に結び付ける素地があることが強みです。

米国法人は11年の創業以来、着実に成果を積み上げ、19年にナスダック上場を果たしました。顧客層も広く、グローバルに事業を展開する大手銀行から、信用金庫や地方銀行まで規模や業態を問わず幅広い金融機関と契約しています。顧客から寄せられる厚い信用を裏付けるのが既存顧客のリテンションレート(定着率)で、21年度実績は155%を達成しました。単純化するなら、昨年は100人のnCinoユーザーが居た金融機関が今年は155人になっていることを示します。全世界のnCinoユーザーの平均という事を考えると驚異的に高い数値であると捉えております(SaaS業界においては80~90%で及第点と言われている)。

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