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元リクが実践 リクルートのDNA 組織にどう浸透? ニット広報/オンラインファシリテーター 小澤 美佳

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リクルートを退職して3年。退職してからもリクルートで培ったマインドやスキルが生きている。これからもきっとリクルートの存在が私の生き方や働き方を後押ししてくれるだろう。今回は退職後にどのような点でリクルート時代の経験が発揮されるかについてお伝えしたい。

辞めることを「卒業」と呼び、応援する文化

他の企業であれば、退職を社員が申し出ると「辞めないでほしい」「不満があれば言ってほしい」など上司や人事が引き留めることが多いだろう。

しかし、リクルートの場合は辞めることに関して寛容なのだ。むしろ、辞めた後のことを応援する文化がある。リクルートを退職後に起業をする人が多く、「起業家輩出企業」と言われるほどだ。

そのため、40代まで勤める人は他の企業に比べ多くはない。どんなに会社の規模が拡大しても、常に若い、情熱的なエネルギーがあふれる会社だと私は感じていた。

入社時から「君はどうしたいの?」と問われ続けるため、自分で思考し、自分で動くことになる。この考え方は、業務だけでなく、自分がこれからの人生で何をしたいかを考えることにつながるのだ。その結果、リクルートでの学びを生かして、次のステップへ駆け上がる。

リクルートでは「大志」を持って退職する人を「卒業」と呼び、みんなは称賛とエールを送る、というのが習わしだ。

連鎖し続けるリクルートのつながり

「そもそもリクルートは何をしている会社なのか」と聞かれることがある。HR(人材)、住宅、ブライダル、飲食などそれぞれの色は全く違う分野にわたるが、マッチングというビジネスモデルを編み出し、再現性高く、横展開している企業だ。圧倒的な当事者意識を持って、一人ひとりが猛スピードで形にしていく。その功績を、在り得ないほど、褒めたたえる。そしてまた猛スピードで形にしていくという、この循環こそが、事業を成長させるリクルートの強さである。転職後でも、この強みを継承している人が多くいるということが、会社という枠を越えて、社会への影響を及ぼしているのではないか、とすら私は思う。

そして、卒業後もあらゆるところで関係性が続くのがリクルートの特徴だ。

リクルートは採用規模も大きく、毎年多くの新卒・中途社員が入社している。同時に多くの人が退職をしており、入れ替わり立ち替わり人の出入りがあり、人材が循環しているのだ。

人生で少しでもリクルートと関わった人が、自分自身を元リクと呼び、そのDNAを世の中に伝播(でんぱ)させている。私の感覚的には新しい出会いがあると、10人に1人はリクルート出身だと言えるほど、元リクと呼ばれる人が世の中に多くいる。また元リクの人が経営者の場合、リクルート流の会社になる傾向がある。このようにして、卒業した社員がリクルートらしい文化を世の中に広げているのだと私は考えている。

広がっているのは文化だけではない。私が今勤めているニットに入社したきっかけは、元リクのつながりである。当社の人事担当者が元リク仲間だったのだ。私はリクルートを辞めて、中米へ渡り、観光業を営んでいた。一時帰国した際に彼女とお茶をし、その数日後に、ニット代表と出会った。HR領域を専門としていた私としては、中米へ戻った後に、「新しい働き方」という概念を創りたいという気持ちが大きくなり、結果、2019年当時、まだ珍しかったフルリモートで事業を推進しているニットへの入社を決めた。その後、私を経由して、何人かの元リクつながりの人が入社している。現在働いている社員の中にはリクルート時代の同期もいる。

リクルートでのつながりは連鎖し続けるのだ。

ベンチャーで生きる リクルートの流

「元リクなぜ強い?リクルートで学ぶ『圧倒的当事者意識』」でリクルートの「圧倒的当事者意識」についてはご紹介したが、リクルートで働いた経験が今の仕事のどのような点に生きているかを具体的に書くと以下のようにまとめられる。

■「卒業」後に生きるリクルートの経験■

(1)繰り返し伝えることでビジョンを浸透させる
(2)成果を上げたら圧倒的に褒める表彰
(3)「期待して、信じて、任せる」というマネジメント
(4)WILL CAN MUSTシート
(5)採用手法
(6)目標達成のための徹底した数値管理・分析
(7)圧倒的当事者意識の醸成方法
(8)顧客への事業課題解決方法

先日、当社で11時間に及ぶオンライン合宿を行ったのだが、その際に、リクルートの表彰スタイルを取り入れた。

具体的には、表彰状の言葉として、その人の達成率に加えて、「何が素晴らしかったのか」「なぜこのタイミングで褒めたたえるのか」「今後の期待は何か」ということを伝えた。さらに「なぜ、表彰するのか」という観点を伝えるのも重要なポイントで、理由は、聞いている他のメンバーも「そうか、だからあの人がMVPなんだ」「自分も、次回、MVPになるために、そういう行動をしよう」と思えるようになるからだ。

これまでキックオフなどの機会を通じて、「未来を自分で選択できる社会をつくる」という当社のビジョンを何度も社内に伝えてきた。当社はまだまだ発展途中のベンチャー企業だが、採用においても「ビジョンへの共感をしてもらえているか」ということを大事な指標にしている。結果、ニットのメンバーであれば、このビジョンを全員言えるだろうというところまで浸透した。当社でも何かを決める際にビジョンは重要な指針になってきたので、ここでもまたリクルートのビジョン浸透方法が生きている。

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