
肌や血管が老化するのと同じように、目も年齢とともに老化する。そして、50代から70代にかけて一気に有病率が高まる目の病気に、白内障や加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、近視性網膜症などがある。「目は体の健康維持に関わる最重要器官の一つ。これを逆手にとれば、早めに全身のアンチエイジングを意識することで目の病気の発生を予防できる可能性がある」(慶応義塾大学医学部眼科学教室の坪田一男教授)。加齢にともない増える目の病気と、目のアンチエイジングに効果的な5つの生活習慣を紹介する。
■眼の病気、50代から有病率が急上昇
英国で実施された「高齢社会で自立して生活するための条件を探る研究」では、認知機能、身体機能、視機能の3つの維持が重要だとしている。そして、視覚障害はほかの機能障害を招き、死亡のリスクも高めるとし、予防策の必要性を説く。(注1)
※注1:Int J Epidemiol. 2014 Aug; 43(4): 1063-1072.
2018年発表の日本での第4回視覚障害全国調査では、視覚障害と認定された人には60代以上の高齢者が多く、原因は1位緑内障、2位網膜色素変性、3位糖尿病網膜症、4位加齢黄斑変性という結果が出た。(注2)
※注2:2018年発表、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科、山形大学大学院医学系研究科の研究グループ(厚生労働省、難治性疾患等政策研究事業、網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班による調査)
これらの失明原因ともなる目の病気の年齢別有病率を比較した慶応義塾大学の坪田教授は「目の病気も全身疾患と同様に、加齢とともに発症リスクが高くなる。50代手前からアンチエイジングをしっかり意識することによって目の病気を予防する、という視点が重要」と話す。