目の健康守る

ドライアイがうつリスク招く? 角膜と視機能守るケア

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ドライアイという言葉はよく知られているだけに、「目が乾いただけ」「疲れているだけ」と思っている人もいるかもしれない。しかし、ドライアイを甘く見てはいけない。ドライアイの症状に「目のかすみ」があるように、ドライアイは視力にも悪影響をもたらす。「通常は均一に角膜を覆っている涙の質が低下し、デコボコの状態になると、肌が荒れるように目の表面が荒れて、ぼんやりとしか見えなくなる。ドライアイによって書類やパソコン画面が見えづらくなるなど、視機能低下にも関わることがわかってきている」(堀教授)

<ドライアイで視機能が低下する>

■ソフトコンタクトで痛みに気づきにくいことも

ドライアイの原因としてまず挙げられるのが、環境要因だ。エアコンの風を受けながらパソコンに向かって長時間作業をし、目にはコンタクトレンズを装用――。このエアコン、パソコン、コンタクトレンズは、ドライアイの要因となる「3コン」。現代のオフィス環境では誰もがドライアイの危険にさらされる可能性がある。

「エアコンの風を受けると目は乾燥する。人は瞬きをすることで角膜に涙を行き渡らせるが、パソコン作業に集中すると瞬きの数がてきめんに減少するため、涙も不足がちになる」(堀教授)。

さらにソフトコンタクトユーザーは特に注意が必要、と堀教授は注意を促す。

「ソフトコンタクト装用者は涙液量が減る上、角膜をぴったりと覆っているがゆえに角膜に傷ができても気づきにくい。これをコンタクトの"ばんそうこう効果"と呼んでいる。角膜に雑菌が繁殖する感染症も発見が遅れがちで、重症化してから受診するケースも多い」(堀教授)

このように、角膜を守るはずの涙がその機能を十全に果たせなくなり、ドライアイが慢性化・悪化すると、その結果として角膜が傷つき、以下のような角膜の病気を発症することもある。

点状表層角膜炎:角膜上皮が点状にはがれおちた状態。目が痛む、異物感、涙目になる、明るい光に敏感になる、充血するといった症状が出る。ドライアイや、アレルギーによって目をこする刺激、点眼のしすぎによっても起こる。

角膜びらん:角膜上皮に傷ができ、面状にめくれた状態になる。爪でひっかいたり異物が目に入ったりすることがきっかけに。朝に突然激しい目の痛みと涙目が起こる。数日から1週間以内で治らない場合を「遷延性角膜上皮欠損」という。

角膜感染症:角膜上皮に傷がつき、バリア機能が壊れるとブドウ球菌などの細菌やウイルスが角膜で繁殖。強い目の痛み、大量の目やに、充血、角膜のにごりなどが起こる。

点状表層角膜炎や角膜びらんから、角膜感染症になる恐れもある。

「かつて、角膜の上皮の病気は"農村型"と言われ、農作業中に木の枝や細かい飛来物が目に入ることによる外傷や真菌(かび)による感染症などがポピュラーだった。しかし現代は"都市型"になっていて、コンタクトレンズ装用による傷や感染症が多くなっている」と堀教授は指摘する。

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