誰もが働く社会へ
家計を60歳までの男性の稼ぎだけで支えるという生活モデルも、平成になくなりました。このモデルにそって設計されていた、国の配偶者控除や年金制度、企業の福利厚生制度などが、次々と見直されようとしているのは読者のみなさんもご存じかと思います。
女性の就労状況については図表2-3の通り、1980年代までは「専業主婦」がマジョリティでした。しかし、バブル崩壊後の1990年代後半に「共働き」が専業主婦を世帯数で逆転し、2017年には後者の2倍近くになりました。背景には、女性の就労環境の改善、産業構造の情報・サービス化などに加えて、男性の稼ぎ手だけによる家計では苦しくなってきたという事情もあるでしょう。
また、高齢者が働くことも一般的になってきました。図表2-4の通り、「65歳以上の就業者数」は、劇的に増えています。昔から農林業従事者は高齢でも働いていたのですが、平成期には非農林業分野の高齢労働者が特に増えました。従来なら、会社を定年で辞め、悠々自適に暮らしていた人たちも、そうはいかなくなってきたのです。
平成期に、社会は誰もが働く方向へと変貌していきました。