日経ソーシャルビジネスコンテスト関連特集

医療衛生から食品衛生へ 多角化するサラヤのソーシャルビジネス サラヤ取締役・コミュニケーション本部本部長・代島裕世氏に聞く

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「第2回日経ソーシャルビジネスコンテスト」が現在進行中だ。審査員の1人、更家悠介氏が社長を務めるサラヤは、ソーシャルビジネスのトップランナー企業。「第1回ジャパンSDGsアワード」受賞したことや昨年の取り組みを振り返るとともに、今後の展望を取締役・コミュニケーション本部本部長の代島裕世氏に聞いた。

※2月19日、「第2回日経ソーシャルビジネスコンテスト」の受賞者が決定されました。

◇       ◇       ◇

――昨年は更家悠介社長に、サラヤが創業時から取り組んでいる社会課題を解決するビジネスについてお聞きし、「海外支援」と「地方創生」のポイントを教えていただきました。それ以降、一層その取り組みが加速しています。

サラヤだけではなく、世の中全体がSDGs の取り組みの動きがここ1、2年で加速していると感じます。おかげさまで2017年12月、「第1回ジャパンSDGsアワード」のSDGs推進副本部長(外務大臣)表彰を受けました。このアワードは、本部長を内閣総理大臣とし、首相官邸に設置されている持続可能な開発目標(SDGs)推進本部が実施するもので、その1回目に受賞できたことは大きな喜びです。

受賞の理由はいくつかありますが、その一つはウガンダの公立病院にサラヤのアルコール手指消毒剤が導入されたことです。さかのぼれば、2011年に途上国における衛生環境改善ビジネスの拠点としてウガンダにサラヤ・イーストアフリカを設立し、JICA(国際協力機構)の助成金を得て妥当性調査を実施し、その結果、アルコール手指消毒剤の現地生産を開始。医療現場での感染症対策に取り組みました。

効果は明らかで、医療現場の院内感染の発生率が劇的に低減し、乳幼児や妊産婦の命を守ることができたのです。ただ、助成金だけではカバーできないときは費用をサラヤ本社から持ち出すなど苦労もありました。そこで2014年にはウガンダの製糖大手と合弁で現在のSaraya Manufacturing(U)Ltd(SMU)を設立し、日本国内製品と同等処方のアルコール手指消毒剤を現地製造。同年に西アフリカでエボラ出血熱が起きたときには特別輸出して役に立つことが出来ました。2017年になってやっと、ウガンダの国公立医療施設に医薬品や医療資材を流通させている同国唯一の公共調達入札に参加し、勝ち得ることができたのです。

サラヤは戦後日本の公衆衛生から始まった会社です。今のウガンダも当時の日本と同じ。アルコール手指消毒剤を消費者に直接販売して、普及させるレベルにはなく、まず医療施設での院内感染予防に取り組まなければなりません。したがって、全国の国立病院にアルコール手指消毒剤を導入できるということは大変意義のあることで、念願かかなったという気持ちです。サラヤは、途上国で衛生環境改善に取り組むのが使命みたいな会社なんですね。

――東アフリカの妊産婦を守る「ホワイトリボン運動」を本格的に開始されましたね。これもSDGs達成の一環ですか?

そうです。妊婦の分娩時死亡率を削減することがSDGsターゲットの3番に入っています。東アフリカで母子健康棟(女性が家族計画や性感染症の相談をしたり、産前産後の健診、分娩、休養、入院ができる施設)を建て直したり、途上国の妊産婦を守る教育啓発活動をしている公益財団法人ジョイセフ(Japanese Organization for international Cooperation in Family Planning)をサポートしてきました。サラヤではすべての商品について売り上げの一部を何らかの社会貢献活動に寄付していますが、ジョイセフに対してはラクトフェリン配合のスキンケアブランド「Lactoferrin Lab.」の売り上げの一部を寄付しています。

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