キーパーソンインタビュー:環境・エネルギー

「SDGsは絶好のイノベーションの機会」

イノベーション 地方創生

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を、企業がビジネスとして取り組み、成長につなげるには何が必要か――。そんな視点で企業とSDGsを結び付ける事業を手掛けるのが、Japan Innovation Network(JIN)だ。専務理事の西口尚宏氏は「SDGsは日本企業にとって絶好のイノベーションの機会」と指摘する。詳しく話を聞いた。

日本企業に必要な事業構想力

――まず、JINとはどんな活動をしているのか教えてください。

2013年7月に設立し、主に大企業のイノベーション加速を支援しています。よく、イノベーションとは新規事業のことだと言われますが、それは誤解です。正しくは、本業のビジネスモデル革新と、新規事業の2本の柱によって新しい価値を生み出すことだと考えます。言い換えれば、効率性を追求する経営と、創造性を追求する経営の2階建て経営が必要なのです。ところが、日本企業では、特に後者の創造性の経営の重要性が最近まで理解されていませんでした。

創造性を発揮するには、社内外から知恵を集め、事業化する仕組みが求められます。特定の個人のアイデアに頼るのでなく、システマティックに継続してイノベーションを起こす動きが世界で拡がっています。いわば、暗黙知を形式知に変える仕組みです。私たちは企業が社内外から知恵を集めて事業化するプログラムの設計とその運営を、企業と並走しながら支援しています。また、国内外の識者をアドバイザーとして迎え、国際的に活動しています。

――イノベーションを起こす支援をするJINが、なぜSDGsに取り組んでいるのですか。SDGsとイノベーションはどう結び付くのでしょうか。

イノベーションはどのようなプロセスで生まれるか。まず課題を発見し、コンセプト化、事業モデル化する。ここまでが事業構想ステージで、そこから事業プランを策定し、ファイナンスを経て立ち上げ、発展させる。これが事業立ち上げステージとなります。日本企業は前者の事業構想部分が苦手です。明治以来、欧米に追い付き追い越せと、定められた目標に向かって発展してきたからです。

現在、日本はものづくりで世界のトップクラスに立ちました。さらに、デジタル社会の到来で、途上国も含め情報が瞬時に行き渡るようになり、世界はフラット化、いわば横一線に並んだ状態にあります。つまり、日本は追いかけるべき背中を見失い、それがイノベーションの停滞をもたらしていると言えます。

一方、SDGsは世界を変えるための17のゴール、169のターゲットを掲げています。イノベーションで言えば、取っ掛かりとなる課題です。日本企業にとっては、169もの課題が一気に提示された、つまり、見失いかけた背中が目の前に現れたわけです。このイノベーションを起こす絶好の機会を逃す手はありません。

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

イノベーション 地方創生

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。