キーパーソンインタビュー:環境・エネルギー

「民間企業のパートナーとしてSDGsに貢献」

イノベーション 地方創生

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国連が2015年に採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現に向け、独立行政法人国際協力機構(JICA)が取り組みを強化している。民間企業とのパートナーシップに力点を置いているのが特徴だ。なぜ、JICAがSDGsに積極的に取り組むのか、民間企業とどんな活動を進めているのか。理事である前田徹氏に聞いた。

JICAの活動はSDGsの理念に合致

――JICAというと、途上国支援やボランティア活動といったイメージがあります。先進国も含め、国連として取り組むSDGsに積極的に関わる理由は何でしょうか。

JICAはもともと、国際社会の平和、安定、繁栄をめざし、人間の安全保障と質の高い成長の実現を目的に活動してきました。これはまさに、SDGsが目指す理念と合致するものです。私たちが実践してきた様々な国や地域での開発協力の経験を生かし、リーダーシップを発揮して積極的に取り組んでいきたいと考えています。

具体的には、SDGsが掲げる17のゴールのうち、10のゴール(飢餓・栄養、健康、教育、水・衛生、エネルギー、経済成長・雇用、インフラ・産業、都市、気候変動、森林・生物多様性)について、中心的な役割を果たしたいと思っています。もちろん、私たちの力だけでは足りませんので、国内外のパートナーとの連携が重要となります。

――民間企業とのパートナーシップを強調されていますね。

国際協力におけるパートナーシップは近年、大きく変化してきています。従来は政府間で合意したインフラ事業などに、民間企業やコンサルタント、大学などから技術協力あるいは資金協力といった形で参画していただく方式が主流でした。最近は民間側から提案をいただき、その提案をもとにJICAも加わって活動を支援していく事例が増えています。

もう1つの大きな変化は資金面です。途上国に流入する資金をみると、民間資金がODA(政府開発援助)を大きく上回っています。今後、ODAは途上国への支援に民間資金を呼び込む「触媒」のような役割を果たす場面が多くなると見ています。

日本企業には技術、アイデア、ノウハウ、資金といった豊富な蓄積があります。一方、JICAは国内外のネットワークが強みです。援助対象は150カ国・地域に及び、拠点数は海外に96カ所、国内に14カ所。専門家の派遣数は1万1千人を超えます。それぞれの強みを生かし、SDGsの達成に向け、インパクトのある取り組みを進めていければと考えています。

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