危機管理広報 エイレックス江良俊郎社長に聞く

不祥事企業が生まれ変わる方法 「体質変わった」印象づける改革と情報開示姿勢

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日大の危険タックル問題の対応迷走を受け、不祥事の危機管理を論じた当連載は5回目の今回で一段落するが、この1カ月の間にも文部科学省幹部の受託収賄疑惑など事件が相次いだ。不祥事が発生した組織が信頼を取り戻し生まれ変わるにはどうすればよいのか。危機管理広報コンサルティングのエイレックス江良俊郎社長が提言する。

■初動の失敗は信頼回復に大きなダメージ

繰り返しになるが緊急事態では、初動対応とメディア対応の失敗が、取り返しのつかない大きな危機に直結する。ダメージの最小化、早期の収束という点からも、この二つが重要だ。

不祥事対応において「謝罪」はゴールでない。ダメージの最小化、早期の収束も当面の目標にすぎない。むしろその先が重要だ。経営者が早期に失った信頼を取り戻し、ビジネスを成長軌道に戻す事だ。企業価値を向上させることが求められる。

危機に迅速に対応し、まずは、「不祥事を起こしたが、対応は評価できる」「信頼回復がかなった」という評判、レピュテーションの回復が望ましい。

適切な初動対応、社会への説明責任は必須で、なぜ不祥事が起きたのか、だれが責任を取るのか、2度と起こさない決意、再発防止策も必要な項目となる。

危機収束に至る、不祥事対応の流れを整理してみよう。

(1)徹底した調査・原因特定を含む事実認定

(2)公表と謝罪・積極的な情報開示

(3)責任と処分の明確化

(4)再発防止策の策定

(5)信頼回復のための施策実行

の5つである。

初動対応で失敗しやすい事例として、開示の遅れがある。例えば、第1段階の不祥事が発覚した際、はっきりした原因や処分結果が出るまで公表しない方がよいとの慎重意見が出て、見送られることが多い。たしかに、直後は状況が不明確な場合や原因の特定が困難な場合があり、中途半端な公表がより混乱を招く場合がないわけではない。最優先で事実究明を優先する場合もある。

しかし、それでも直ちに公表すべき場合がある。当事者が広くメディアを通じて情報を開示し社会に注意喚起することによって、被害拡大が防げる場合がそれにあたる。例えば、製品ユーザーが使い続けると、事故を起こす、けがをするなど重大な事態や健康被害の恐れがある場合。知らずに個人情報が流出していた方が、架空請求やなりすましメールにだまされ、2次被害にあうようなケースも同様だ。

実害が出ることが容易に想定されていながら、当事者として何も手を打たないと非常に大きな問題になり、信頼回復までの道のりは長くなる。

近年、刑事裁判でも企業や経営者に厳しい判決が出ている。2010年5月、パロマ製ガス湯沸かし器による一酸化炭素中毒で利用者が死亡した事故の刑事責任が問われた。この事件では自社製品の欠陥ではなく、外部業者の不正改造が原因であったが、事故が多発していたことを会社も認識していたとし、元社長と元品質管理部長が業務上過失致死傷罪で有罪とされた。

危険な状況だということ知りつつ、適切な対応を取らなかった、予見は可能だったとされた。つまり、予見した時点で消費者に向けて不正改造をしないように注意喚起すべきで、製品の回収、修理の徹底を行うべきだったことが判決文にも明記されている。この件は我々組織の危機対応に携わる者にとっては、衝撃的な判決であったが、予見可能な危機への対応については世論も裁判所も、これまでより企業により厳しい対応を求めているといえる

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