意外と会社は合理的 ―組織にはびこる「理不尽」のメカニズム―

ロボットは完璧な従業員か レイ・フィスマン、ティム・サリバン

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ヘンリー・フォードから見れば、完璧な従業員はおそらくロボットだっただろう。だがロボットの問題は、イノベーションを生み出さないことだ。同じ作業を飽くことなく永遠に繰り返すだけだ。内燃機関を生み出したのも、Gメールを生み出したのも、ロボットではなかった。

Gメールが誕生したのは、グーグルが採用しているのが文字どおりアタマの空っぽなロボットではないからだ。グーグルは非常に難しい技術的問題を解決するために、飛び抜けて優秀な人材を採用し、相当な時間(勤務時間の20%、もしくは週1日)を自由に使わせている。何かおもしろいもの、具体的にはカネになるものを生み出すと期待してのことだ。言葉を換えれば、グーグルは従業員の一挙手一投足を監視するというトレンドに背を向けた。その見返りは大きかった。グーグルの新製品のおよそ50%(広告プログラムの「アドセンス」やGメールも含まれている)は、従業員に自由に創造的な仕事をさせる政策から生まれた。

だがグーグルでさえ、良きにつけ悪しきにつけ、支払った分以上の見返りは受け取っていない。同社は間違いなく、自らの事業にともなう困難な課題に喜んで立ち向かう、優秀で創造的なエンジニアを採用するために膨大な時間、カネ、労力をつぎ込んでいる。だから彼らを引き留め、満足させることには経済合理性がある。グーグルはとにかく贅沢な職場だ。手厚い福利厚生は有名で(そのおかげで、すでに十分贅沢だったシリコンバレー企業の福利厚生の基準がさらに高くなった)、レストラン、軽食コーナー、マッサージ、理容室、小さい子供を持つ社員が食事をテイクアウトした場合の500ドルの補助、スポーツジム、外国語コース、クリーニング、シャトルバス、セグウェイなどが整っている。イノベーションの名のもとに生産効率が犠牲にされるのはよくある話だが、イノベーションのための人材もまた高くつくのだ。

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